セールスフォース、AI戦略で強気転換 2030年度に600億ドルの売上目標を発表

  • 2025年10月17日
  • 2025年10月17日
  • BS余話

セールスフォース(CRM)が、AI戦略の本格的な収益化を示す数字を提示しました。同社はアナリスト向けイベント「Dreamforce Analyst Day」で、2030会計年度までに売上600億ドルを目指すと発表し、AI関連製品「エージェントフォース」がその成長を牽引するとしています。2025年度の売上は約380億ドルであり、今後5年間で年平均10%を超える成長を見込む強気な見通しです。

この発表を受けて株価は急上昇し、10月16日の米国市場で一時約7%高となりました。AI導入の進展が遅いとの懸念で年初来29%下落していた株に対し、投資家心理が明確に好転した形です。

AIエージェント「エージェントフォース」の拡張と提携強化

セールスフォースは1年前にリリースしたAIプラットフォーム「エージェントフォース」に新機能を追加しました。最新の「エージェントフォース・ボイス」はAIが電話で顧客対応を行う機能を備えています。また、オープンAIやアンソロピックとの提携を強化し、両社の大規模言語モデルをセールスフォースのプラットフォームに統合すると発表しました。2025年末までに、データクラウドおよびエージェントフォースの有料ユーザーを2万人以上に増やす見通しです。

米国みずほ証券のGregg Moskowitz氏は、これらの見通しが「再加速の現実的な可能性」を示しているとし、同社株をアウトパフォーム評価、目標株価350ドルに設定しました。

アナリストの見方は分かれる

エバコア ISIのKirk Materne氏も同様にアウトパフォーム評価を付与し、目標株価を360ドルとしています。Materne氏は、エージェントフォースの商用化が「数年先」ではなく「今後1年以内」に加速する可能性があると述べ、2026年度以降に投資家心理が改善する余地があると指摘しました。

一方、グッゲンハイムのJohn DiFucci氏は慎重な見方を崩していません。同氏は、ARR(年間経常収益)の3〜4倍増という見通しは過大評価の可能性があるとし、セールスフォースの成長ペースが鈍化している点を懸念材料に挙げています。DiFucci氏は中立評価を維持しました。

「AI収益化」の明確化で投資家の期待高まる

セールスフォースは過去にも2020年時点で「2026年度に売上500億ドル」を掲げていましたが、現在の見通しは410億ドルにとどまっています。過去の未達成目標が懸念される一方、今回の発表はAIを軸にした再成長への道筋を示すものであり、市場ではポジティブな反応が広がっています。

AIによる「エージェント企業(agentic enterprise)」化の潮流が進む中、セールスフォースが再びテック業界の主役に返り咲くか注目が集まっています。

*過去記事「セールスフォース株が急落、好決算でも不安が残るAI投資の行方

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