米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価が上昇を続けています。AI分野での新たな契約拡大により「収益の可視性(visibility)」が高まっていることが、ウォール街の強気な見方を支えています。
オープンAIとの提携がもたらす新しいパラダイム
AMDの株価は今月初めに発表されたオープンAIとの提携以降、32%上昇しました。HSBCのアナリスト、フランク・リー氏は、この提携によってAMDのAIグラフィックプロセッサ(GPU)事業の見通しが一変したと分析しています。リー氏は、AMDのAI GPUの売上機会が今年の73億ドル規模から10倍以上に拡大する可能性があると試算しています。
2027年にはAI GPU売上が375億ドル規模に
リー氏は、AMDが2027年に375億ドルのAI GPU売上を達成すると予測しています。これは市場コンセンサスの268億ドルを大きく上回る数字で、オープンAIへのチップ供給が主要な要因になると見ています。また、TSMC(台湾積体電路製造)によるCoWoS(シリコンインターポーザ上チップ実装)能力の拡大により、AMDの供給制約も緩和される見通しです。リー氏はAMDの目標株価を180ドルから310ドルに引き上げました。
オラクルとの協業でAIインフラ展開を拡大
ウェドブッシュ証券のマット・ブライソン氏も、AMDの収益見通し改善を評価しています。AMDは2026年後半からオラクル(ORCL)のクラウドインフラに5万個のMI450チップを導入し、2027年まで段階的に展開する計画です。さらに、オープンAIとは6ギガワット相当のAIシステムを複数世代にわたり導入する契約を結んでいます。
これらの契約が重複する部分もあるとしながらも、ブライソン氏は「1ギガワットあたり約200億ドルの価値がある」と指摘。AI関連の売上は2027年に200億ドル規模に達すると予測し、株価目標を190ドルから270ドルに引き上げています。
投資家が注目する「AI収益の加速」
AMDはこれまでエヌビディアとの性能格差が指摘されてきましたが、MI350シリーズでブラックウェル世代のエヌビディアGPUに迫る性能を実現しつつあります。AIチップ市場の拡大とともに、AMDのデータセンター向け事業が本格的に加速する見通しです。
AMD株は10月15日の米国市場で9.4%上昇し、ナスダック100の上昇銘柄の中でもトップとなりました。アナリストたちは、同社がAI時代の新たな成長局面に入ったと見ています。
*過去記事はこちら AMD
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