米小売大手ウォルマート(WMT)は10月14日、人工知能チャットボット「ChatGPT」を運営するオープンAIとの提携を発表しました。この取り組みにより、顧客はChatGPTを通じてウォルマートの商品を直接購入できるようになります。発表を受け、14日午前の米国市場でウォルマート株は3.9%超上昇し、過去最高値を更新する勢いとなりました。
ChatGPTで「対話型ショッピング」が実現
新たな提携により、ユーザーはChatGPT上で会話をしながら商品を探し、そのまま購入まで完結できるようになります。オープンAIが先月発表した新機能「Instant Checkout」を活用し、ウォルマートの商品をチャット内で注文することが可能になります。これまでのように検索バーでキーワードを入力して商品リストを眺めるという形から、AIが提案する「対話型ショッピング」へと進化することになります。
ウォルマートのダグ・マクミロンCEOは、「これまでのeコマースは検索とリスト中心だったが、今後はマルチメディアでパーソナライズされたAI体験が主流になる」と述べています。
小売業界の中で際立つ存在へ
インフレの影響で消費者が節約志向を強める中、ウォルマートのような大手小売チェーンへの注目は高まっています。UBSのアナリスト、マイケル・ラッサー氏は「この提携は、ウォルマートがテクノロジーとショッピングのトレンドを的確に取り入れていることを示すものだ」と評価しました。
また、D.A.デビッドソンのマイケル・ベイカー氏も「ウォルマートは『エージェント型コマース』競争の勝者になるだろう」と述べています。ここでいう「エージェント型コマース」とは、AIがユーザーの代わりに検索や購入を行う新しい購買モデルを指します。
オープンAIのInstant Checkoutが広がる可能性
オープンAIはすでに米国で、エッツィ(ETSY)やショッピファイ(SHOP)といったプラットフォームと連携したInstant Checkoutを展開しており、今後は複数商品を同時に購入できるように機能拡張を進めています。ウォルマートの参入により、この「チャットから買える」新しい購買体験が一気に広がる可能性があります。
ウォルマートはすでに顧客サービスやデザイン領域でAIを活用していますが、今回の提携によってAIを軸とした小売革命の先頭に立つ存在となりそうです。
*過去記事「ウォルマートが仕掛ける次世代AIショッピング革命」
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