オープンAIとブロードコム(AVGO)は、人工知能(AI)アクセラレーターを10ギガワット規模で開発・展開する大規模な提携を発表しました。この取り組みは2026年後半から開始し、2029年までに完了する予定です。発表を受けて、ブロードコムの株価は10月13日午前の米国市場で10.5%上昇しました。
共同プロジェクトの概要
このプロジェクトでは、オープンAIがAIアクセラレーターの設計を担当し、ブロードコムがイーサネットおよび接続ソリューションを提供します。AI施設およびパートナーデータセンターにおける展開を進めることで、AIインフラの最前線を強化する狙いがあります。
契約金額は公表されていませんが、ウォール・ストリート・ジャーナルによると数十億ドル規模に達する見通しです。今回の発表により、ブロードコムはナスダック100の中で最も上昇率の高い銘柄となりました。
AI事業の追い風とブロードコムの成長
ブロードコムの株価は9月5日の第3四半期決算発表時にも9.4%上昇しており、その際に「新たな有資格顧客」から100億ドル規模のAI受注を獲得したと発表していました。当時から市場では、この顧客がオープンAIであるとの見方が強まっていました。
CEOのホック・タン氏は「2026会計年度のAI売上見通しは、前四半期の予想から大幅に上方修正される」と述べており、今回の提携はその成長ストーリーを裏付ける内容となっています。
オープンAIのAIインフラ拡大戦略
オープンAIは最近、複数の大手企業と巨額契約を結んでいます。9月10日にはオラクル(ORCL)と5年間で3,000億ドル規模のコンピューティングパワー購入契約を締結しました。さらに、トランプ政権とともに今後4年間で5,000億ドルを投資し、米国内で10ギガワットのAI運用能力を構築する計画も発表しています。
また、9月22日にはエヌビディア(NVDA)がオープンAIに最大1,000億ドルを投資すると表明し、AIデータセンター構築を支援する動きを見せました。さらに10月6日にはアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)がAIインフラ構築の主要サプライヤーとなる契約を締結しています。
AIエコシステム拡大の象徴
オープンAIのCEOサム・アルトマン氏は「ブロードコムとの提携は、AIの潜在能力を引き出し、人々や企業に実際の利益をもたらすために不可欠な一歩」と述べています。ブロードコムの通信インフラ技術とオープンAIのソフトウェア開発力の融合により、次世代AIシステムの基盤がさらに強化されることになります。
この提携は、AIインフラをめぐる世界的な競争の新たな節目となり、AI市場の構造を大きく変える可能性があります。ブロードコムの技術的優位とオープンAIの急拡大する需要が組み合わさることで、AIサプライチェーン全体の新たな成長サイクルが始まりつつあります。
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