米大手銀行JPMモルガン・チェース(JPM)は10月13日、国家経済の安全保障と強靭性を高めるため、戦略的に重要な産業への支援を目的とした「セキュリティ&レジリエンス・イニシアティブ」を発表しました。総額は1.5兆ドル規模にのぼり、今後10年間にわたって製造業や重要素材分野への融資・投資を強化します。
トランプ政権の方針を後押しする大型計画
この動きは、トランプ政権が推進する「国内回帰型の産業政策」に呼応する形です。政府はすでにレアアース(希土類)やリチウム、半導体といった重要分野の米国内生産を支援するため、MPマテリアルズ(MP)やリチウム・アメリカズ(LAC)、インテル(INTC)などに出資しています。JPMモルガンもこれらの政府プロジェクトの資金調達に関与しています。
CEOのジェイミー・ダイモン氏は、「米国は重要資源や製造において、信頼できない供給元への依存度が高すぎる」と述べ、過剰な規制や教育制度の改革も必要だと強調しました。
レアアース・量子コンピューティング関連株が急騰
この発表を受けて、関連銘柄が一斉に上昇しました。レアアース大手のMPマテリアルズ(MP)は21.3%高、USAレアアース(USAR)は18.6%高、リチウム・アメリカズ(LAC)は12.7%高、アルベマール(ALB)は7.2%高と大幅上昇しました。
また、量子コンピューティング関連株にも資金が流入し、イオンキュー(IONQ)は16.2%高、リゲッティ・コンピューティング(RGTI)は25%高、ディーウェーブ・クオンタム(QBTS)は22.8%高となりました。
安全保障と経済を結ぶ新たな資本の流れ
この「1.5兆ドル構想」は、単なる銀行業務拡大ではなく、米国の経済安全保障政策と密接に連動した動きとして注目されています。JPMモルガンは自社のバランスシートから100億ドルを投資し、資産運用部門を通じて富裕層投資家との共同出資も進める見通しです。
さらに、政府や産業界の有識者による諮問委員会を設立し、長期的な産業戦略を支援する体制を整えるとしています。レアアースからAI、量子、バッテリー、ロボティクスに至るまで、米国産業の再構築が本格的に始まったことを示すニュースです。
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