インテルとテキサス・インスツルメンツが格下げ:AI戦略の遅れと関税リスクが重荷

  • 2025年10月14日
  • 2025年10月14日
  • BS余話

10月13日、BofA証券はインテル(INTC)テキサス・インスツルメンツ(TXN)の投資格付けをいずれも「中立」から「アンダーパフォーム」へ引き下げました。両社の決算発表を前に、バリュエーションやAI関連戦略の遅れなど、複数の課題が指摘されています。

インテルの課題:競争力低下とAI戦略の欠如

BofA証券は、インテルの株価が「短期間で上がり過ぎた」として、目標株価を34ドルに設定しました。最近の株価上昇により時価総額が約80億ドル増加しましたが、これは同社の財務改善以上に楽観的な評価であり、依然として競争環境は厳しいと指摘しています。

インテルは近年、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)やアーム・ホールディングス(ARM)といった競合に対して市場シェアを失っており、パソコンおよびサーバー向けCPU分野で苦戦が続いています。製品の性能面で劣ることに加え、AI向けの明確な戦略を欠いている点も懸念材料です。

同社はAIアクセラレーターの開発や買収を試みてきましたが、現在ではプロジェクトが停滞しているか、CPU事業の立て直しを優先している可能性があるとBofAは述べています。

また、インテルのファウンドリー事業は自社製品に大きく依存しており、外部顧客を獲得しても2027年末までに黒字化する見通しは立っていないとしています。

一方、UBS証券はインテルの格付けを「中立」とし、目標株価を40ドルに設定しました。PCやサーバー市場の回復により、第4四半期のガイダンスをやや上回る可能性があるとしています。

*過去記事「インテル株が急騰、アップルに出資を打診か

テキサス・インスツルメンツの懸念:AI需要との乖離と関税リスク

BofA証券はテキサス・インスツルメンツの目標株価を208ドルから190ドルに引き下げ、「高品質な資産を持ちながらも、世界的な関税の混乱が短期・中期的な需要回復を抑える可能性がある」と指摘しました。

同社は産業向け半導体で堅実な実績を持つ一方、インフィニオン・テクノロジーズ(IFNNY)などと比べてAI投資サイクルへの関与が限定的であり、AI関連の成長恩恵を十分に享受できていません。

さらに、同社のバリュエーションも割高とされており、2026年の企業価値対フリーキャッシュフロー倍率は31倍と、同業のアナログ・デバイセズ (ADI) を大きく上回っています。フリーキャッシュフローマージンも25~30%と、アナログ・デバイセズの35~40%に比べて見劣りします。

UBS証券はテキサス・インスツルメンツに対して依然「買い」判断を維持していますが、目標株価を245ドルに引き下げました。第3四半期の売上を48億ドル、第4四半期を45~46億ドルと予想し、市場コンセンサスとほぼ一致するとしています。

中国での調査報道が不透明感を高めているものの、同社が米国内に広大な製造拠点を持つことから、米国企業による国内調達志向の高まりは追い風になるとUBSは分析しています。

AI関連の需要から取り残されつつも、関税リスクが再び浮上する中で、米国製造への回帰が中長期的に株価を支える可能性があります。

*過去記事「テキサス・インスツルメンツ決算後に株価急落!その理由とは?

まとめ

BofA証券による2社の同時格下げは、半導体業界の中で「AI関連とそれ以外」の格差が広がっていることを象徴しています。エヌビディアを中心としたAIブームが進む一方で、AI戦略を欠く企業の成長鈍化が鮮明になっています。インテルとテキサス・インスツルメンツは、ともに今後の方向性が注目される局面にあります。

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG