2025年の米国株市場では、好決算でも株価が上がりにくい状況が続いています。S&P500指数(SPX)は予想PERが約23倍と、過去5年間で最も高い水準にあり、すでに多くの企業の将来利益が株価に織り込まれているためです。しかし、エバコアのストラテジストによると、それでも決算をきっかけに上昇が期待できる銘柄が存在します。
エバコアが選んだ「決算で上がる株」
エバコアは、過去8四半期すべてで売上と利益が市場予想を上回った企業をスクリーニングしました。さらに、その中から直近の平均PERよりも低い水準で取引されている銘柄を選んでいます。これにより、好決算発表時に株価が再評価される余地がある企業が浮かび上がりました。
このスクリーニングで選ばれたのは、アドビ(ADBE)、オクタ(OKTA)、シスコシステムズ(CSCO)、コルボ(QRVO)、ゼネラル・モーターズ(GM)、ストライカー(SYK)、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)、リングセントラル(RNG)などです。
これらの銘柄の多くは、過去と比べてショートポジション(空売り)が増加しており、好決算時にはショートカバー(買い戻し)による上昇が期待できると分析されています。
ボストン・サイエンティフィックに注目
中でも注目されるのが、医療機器メーカーのボストン・サイエンティフィック(BSX)です。同社は心臓病関連のデバイスを中心に製品を展開しており、経済変動の影響を受けにくい医療分野で安定した成長を続けています。
同社株は現在、予想PERが約29倍と年初の36倍から低下しています。2月以降10%下落したものの、これは過去の高評価からの調整にすぎません。一方で、空売り残高は1月の1000万株から2000万株へ倍増しており、発行済み株式の約1.3%に達しています。これは過去3年間で最も高い水準に近く、ショートカバーが発生しやすい状況です。
第3四半期決算に向けて「再評価」の可能性
ボストン・サイエンティフィックは10月22日の市場開場前に第3四半期決算を発表します。市場予想は売上49.6億ドル、1株利益0.71ドルです。しかし、会社側は通期売上を200億ドルとガイダンスしており、残りの2四半期で平均51億ドル規模の売上が必要になります。この数字を踏まえると、今期も予想を上回る結果となる可能性が高いと見られています。
同社はこれまでも決算で市場予想を上回る実績を積み重ねており、今回も好結果となれば、空売り勢による買い戻しが株価上昇の引き金になると考えられます。
投資家への示唆
ボストン・サイエンティフィックのような安定成長株に加え、リストアップされたアドビやシスコシステムズ、ゼネラル・モーターズなども、好決算を契機に見直し買いが入りやすい銘柄です。市場全体のバリュエーションが高止まりする中でも、こうした「決算で上がる株」を見極めることが投資成果を高める鍵となります。
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