S&P500急落、政府機関閉鎖と関税リスクで試される米国株市場

  • 2025年10月13日
  • 2025年10月13日
  • BS余話

米国株式市場は10月中旬、政府機関閉鎖と関税懸念という二重の逆風に直面しています。マーケットウォッチの記事によると、S&P500は今月初めに過去最高値を更新したものの、トランプ大統領の「大規模な関税引き上げ」発言をきっかけに下落し、政府機関閉鎖中としては1990年以来最悪の下落ペースとなっています。

銀行決算が相場の試金石に

今週から米国大手銀行の決算発表が始まり、ウォール街全体の動向を占う重要な指標になると見られています。JPモルガン・チェース(JPM)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)、シティグループ(C)、ゴールドマン・サックス(GS)が10月14日に、バンク・オブ・アメリカ(BAC)とモルガン・スタンレー(MS)が15日に発表予定です。

ステート・ストリートのチーフ投資ストラテジスト、マイケル・アローン氏は「S&P500企業の業績予想が引き上げられている」としつつも、「株価が高値圏にあり、失望リスクが大きい」と警戒感を示しています。同氏は「不安を抱きながらも強気(uncomfortably bullish)」と述べ、業績が市場の期待に届かない場合の影響を懸念しています。

政府機関閉鎖でデータの“空白”が続く

政府機関閉鎖の影響で、雇用統計や消費者物価指数(CPI)などの重要経済指標が発表延期となっています。JPモルガン・アセット・マネジメントのチーフグローバルストラテジスト、デビッド・ケリー氏は「関税がコア財価格にどの程度影響しているのか見えにくい」とコメント。市場は“情報の空白”の中で動いている状況です。

AI投資と設備投資への関心高まる

チャールズ・シュワブのチーフ投資ストラテジスト、リズ・アン・ソンダース氏は「今回の決算期ではAI関連の支出や設備投資(capex)について、より踏み込んだ質問が増えるだろう」と指摘しています。AIが企業の生産性向上にどれだけ貢献しているかが焦点になりそうです。

テック株は“1999年の再来”?

10月10日の急落では、S&P500が2.7%下落し、ナスダック総合は3.6%の大幅安となりました。ケリー氏は「ビッグテックの動きが1999年のITバブル期を思い起こさせる」と警戒しながらも、「この強気相場を終わらせるには相当なショックが必要」と述べています。

一方で、市場では下落局面での“押し目買い”が続いており、調整が入るたびに投資家が再び参入する傾向が見られます。

まとめ

S&P500は史上最高値圏にありながらも、政府機関閉鎖、関税リスク、テック株の過熱感など、不安要素が複数重なっています。今週の銀行決算は、景気の実態を映す“試金石”として市場の注目を集めています。AI投資が企業収益を押し上げるのか、それとも期待先行のまま終わるのか、今後数週間が重要な分岐点となりそうです。

*過去記事「米中関係が再び悪化:トランプ関税発言で株式市場急落

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