テスラ(TSLA)は2025年10月7日、主力EVである「モデルY」と「モデル3」に新しい低価格バージョンを発表しました。これにより販売テコ入れを狙いましたが、発表直後に株価は4%近く下落しました。投資家の期待とは裏腹に、市場はこのニュースを冷静に受け止めています。
新価格のモデルYとモデル3、その実態とは
新たに発表された「スタンダード」仕様のモデルYは3万9,990ドル、モデル3は3万6,990ドルで販売されます。これまでの最も安いモデルYが約4万5,000ドルだったことを考えると、確かに価格は下がっています。しかし、投資家が期待していた「3万ドル台前半」という本格的なマス市場価格には届いていません。
また、これらの価格は米政府の電気自動車購入向け税控除(最大7,500ドル)が終了したことを補う目的もあります。AutoForecast Solutionsのサム・フィオラーニ氏は、「3万9,000ドル台の設定は、税控除を失った層にも届く価格帯だ」と指摘しています。
アナリストの反応は「失望」
CFRAのアナリスト、ギャレット・ネルソン氏は、「販売数量の増加にはつながる可能性があるが、投資家が待ち望んでいた新モデルの発表ではない」と述べました。特にロードスターなどの新車種を期待していた市場にとって、この発表はサプライズに欠けたものとなりました。
さらにネルソン氏は、「第4四半期以降、テスラの販売台数は大幅に減少する可能性がある」と警戒感を示しています。
モデルの鮮度不足が競争力低下の一因に
テスラが直面している最大の課題の一つは「モデルの鮮度不足」です。デザインや技術面で新しい電気自動車を発表していないことが、市場シェアの低下につながっていると指摘されています。
サイバートラックは唯一の新型車として注目を集めましたが、最安モデルでも約8万ドルと高額で、幅広い層への普及には至っていません。
価格調整の狙いと今後の展望
テスラは過去にも頻繁に価格を調整しており、今回の動きもその一環と見られます。新しい低価格モデルの追加により、従来のエントリーモデルの残存価値を保ちつつ、生産ラインを維持する戦略です。
しかし、安価モデル投入だけでは市場の期待を満たせず、今後は新デザインや新技術を備えた車種投入が求められています。イーロン・マスク氏が以前言及した「2つの新型低価格モデル」のうち、どのような製品が登場するかが注目されています。
*過去記事はこちら テスラ TSLA
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