2025年のテクノロジー業界では、買収(M&A)の動きが加速しています。バロンズの記事によると、今年9月上旬までにグローバルで成立したテック関連のM&A総額は5,110億ドルに達し、前年同期比で41%も増加したとのことです。
買収の背景には、安定した金利環境と、人工知能(AI)関連資産への需要の高まりがあります。大手ソフトウェア企業やプライベート・エクイティ(PE)ファンドが積極的に動いている状況です。
パロアルトとサイバーアークの大型ディール
7月下旬には、サイバーセキュリティ大手のパロアルトネットワークス(PANW)が、アイデンティティ管理のサイバーアーク・ソフトウェア(CYBR)を250億ドルで買収すると発表しました。この買収により、パロアルトは製品ラインを強化し、サイバーセキュリティ分野での競争力を一段と高める狙いです。
一方、サイバーアークの株主にとっては、プレミアム付きのオファーとなり、発表前から株価は約30%上昇しました。
プライベート・エクイティによる動きも活発化
PEファンドも、成長余地のある中小テック企業に注目しています。8月には、投資会社トーマ・ブラボーが人事・給与管理ソフトを提供するデイフォース(DAY)を約120億ドルで買収すると発表。ここ5年間で株価が18%下落していたデイフォースにとっては追い風となり、株価は大きく反発しました。
次の買収候補と目される企業リスト
ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブス氏は、現在の買収ブームの中で注目すべき企業として、以下の7社を挙げています。
- センティネルワン(S)
- テロス(TLS)
- クオリス(QLYS)
- テナブル(TENB)
- トリップアドバイザー(TRIP)
- リフト(LYFT)
- シースリー・エーアイ(AI)
この中でも特に注目されているのがシースリー・エーアイです。過去5年間で株価は84%も下落しましたが、2022年以降は70%回復しており、ビジネスの安定化が進んでいます。
アイブス氏は「エンタープライズAI分野でのエコシステム拡大により、今後3~12ヶ月以内に買収される可能性が高まっている」と述べています。企業買収だけでなく、PEファンドにとっても魅力的な評価水準になってきていると指摘しています。
買収ブームはまだ終わらない
2025年はすでに2.83兆ドル規模のM&Aが成立しており、年間では4兆ドル超えも視野に入っています。今後もテック業界における買収熱は続きそうです。投資家としては、これらの動向を注視することで、新たなチャンスを捉えるヒントになるかもしれません。
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