米投資情報メディア「バロンズ」が2025年10月3日に注目レポートを公開しました。
テーマは「配当利回りが6%を超えるS&P500構成銘柄の中でも、実はリスクが高い企業8選」、いわゆる“Suspicious Eight(疑惑の8銘柄)”です。
これらの企業は一見、高い配当を魅力に見せかけていますが、背後には業績悪化や市場からの警戒感といった“罠”が潜んでいる可能性があると指摘されています。
以下は記事の概要です。
高配当のワナ:利回り6%超は「警戒シグナル」
記事では、S&P500企業の平均配当利回りが1.1%にとどまる中で、6%以上の利回りは異常値とされ、その多くが「企業の苦境」や「減配リスク」のサインであると述べられています。
たしかに、利回り6.3%の株式に投資すれば、株価が動かなくても11年で元本は倍になりますが、その前に配当が削減されれば元も子もありません。
安定配当とは程遠い8つの企業
以下が“疑惑の8銘柄”です(配当利回りは記事掲載時点の推定値):
- ライオンデルバセル(LYB):利回り11.3%。石油化学の景気後退と過剰供給に苦しみ、キャッシュフローが配当額を下回る可能性。
- ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS):利回り7.8%。アマゾンとの取引縮小と人員削減により経営再建中。
- クラフト・ハインツ(KHC)とコンアグラ(CAG):それぞれ6〜7%の利回りながら、売上停滞と減量ブーム(GLP-1薬の普及)で構造的な逆風。
- ファイザー(PFE):利回り6.3%。トランプ大統領との薬価値下げ交渉で株価上昇も、安定感には不安。
- アルトリア(MO):利回り6.2%。無煙たばこ製品に注力中ながら、競合他社に後れを取る状況。
- フォード(F):利回り6.1%。EV関連の税制変更前の駆け込み需要で株価上昇も一時的との見方。
- ベライゾン(VZ):利回り6.4%。ブロードバンド強化と配当維持に取り組むが、市場人気は低迷。
新規または増配企業のリターンの高さ
過去のデータでは「新たに配当を導入」した企業や「配当を増やし続ける」企業の方が、長期リターンが高くなる傾向にあります。
例えば、1973年から2024年までで平均年率リターンは以下の通りです:
- 新規または増配企業:10.2%
- 配当維持企業:6.8%
- 無配企業:4.3%
- 減配・無配転落企業:-0.9%
つまり、「高配当」より「安定成長する配当」に注目した方が、長期投資では有利になりやすいということです。
配当狙いの代替手段:ETFという選択
記事では、配当狙いの代わりになるものとして、以下のようなETFも紹介されています:
- バンガード・配当成長ETF(VIG):利回り1.6%。増配実績ある企業に分散投資。
- シュワブ・米国配当株ETF(SCHD):利回り3.8%。高配当+財務健全性を重視。
まとめ:配当は「育てるもの」
配当利回りが高い=安全というのは、もはや過去の話かもしれません。
「育つ配当」「減らない配当」に注目し、ETFや増配株を活用しながら、慎重にインカム戦略を構築するのが得策と言えそうです。
このような高配当株戦略の落とし穴や代替手段を知っておくことは、今後の資産形成において大いに参考になるはずです。
バロンズが警鐘を鳴らす“Suspicious Eight(疑惑の8銘柄)”の存在は、私たち投資家にとって示唆に富むものでした。
*過去記事はこちら 配当株
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