2025年第4四半期に向けて、ドイツ銀行は「フレッシュマネー(Fresh Money)」銘柄リストを更新し、38銘柄の高確度な投資アイデアを提示しました。その中には、年初来で出遅れているアマゾン(AMZN)やビザ(V)、躍進しているラムリサーチ(LRCX)などが含まれています。
今回はその概要を紹介します。
アマゾンとAWSの立ち位置
アマゾン(AMZN)は年初来の株価が伸び悩んでいますが、ドイツ銀行はAWSの成長性に対する市場の懸念を過剰反応と見ています。生成AIによってインフラ投資は長期的に数兆ドル規模に達すると予想されており、クラウドインフラ市場で依然として圧倒的なスケールを持つAWSには引き続き注目すべきとしています。
パロアルトネットワークス:AIと買収戦略に注目
サイバーセキュリティ企業のパロアルトネットワークス(PANW)は、2025年のS&P500のパフォーマンスに対して出遅れているものの、AI技術の活用や大型買収(サイバーアークの買収)により今後の反発が期待されています。最近の業績やドイツ銀行の独自調査によれば、同社のビジネスは投資家が懸念するほど悪化していないと見られています。
ビザは市場の懸念を上回る可能性
ビザ(V)は、ステーブルコインや越境決済の成長鈍化を巡る懸念から年初来でS&P500を下回っています。しかしドイツ銀行は、ビザの業績が着実に予想を上回っており、個人消費の拡大やB2B決済などの新たな成長領域が株価を支えると分析しています。
ラムリサーチ:メモリ回復局面でさらに上昇余地
2025年に株価が2倍近くに達した半導体製造装置メーカーのラムリサーチ(LRCX)も引き続きリストに採用されました。DRAM市場のひっ迫やNAND市場の在庫調整の終了、エッジデバイス需要の回復などが背景にあり、メモリ分野への設備投資回復が追い風となっています。
メタも注目銘柄に残留
メタ・プラットフォームズ(META)は2025年に20%以上株価が上昇している中、広告プラットフォームの強さと生成AIモデルを活用した成長戦略により、今後もインターネット分野の中で優位性を保つとドイツ銀行は見ています。
ドイツ銀行が選出した38の注目銘柄一覧
ドイツ銀行の推奨リストは以下のセクター別に分かれています(括弧内はティッカー)。
消費関連
- コカ・コーラ(KO)
- ハイアット・ホテルズ(H)
- ライフタイム・グループ(LTH)
- スターバックス(SBUX)
金融・フィンテック
- アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)
- チャールズ・シュワブ(SCHW)
- S&Pグローバル(SPGI)
- シンクロニー・ファイナンシャル(SYF)
- ウェブスター・ファイナンシャル(WBS)
- ウェルタワー(WELL)
- ウェルズ・ファーゴ(WFC)
ヘルスケア
- アカディア・ヘルスケア(ACHC)
- アルカームズ(ALKS)
- ダナハー(DHR)
- イーライ・リリー(LLY)
- マッケソン(MCK)
- ペヌンブラ(PEN)
- レプリジェン(RGEN)
工業
- アーチャー・アビエーション(ACHR)
- アラスカ航空(ALK)
- セラニーズ(CE)
- コンステリウム(CSTM)
- ナビゲーター・ホールディングス(NVGS)
- エヌベント・エレクトリック(NVT)
- ペンタエア(PNR)
- トレックス(TREX)
- ユニオン・パシフィック(UNP)
- ビステオン(VC)
- ウッドワード(WWD)
テクノロジー・メディア・通信
- アマゾン(AMZN)
- セレブライト(CLBT)
- エコースター(SATS)
- ラムリサーチ(LRCX)
- メタ・プラットフォームズ(META)
- ニューヨーク・タイムズ(NYT)
- NXPセミコンダクターズ(NXPI)
- パロアルトネットワークス(PANW)
- ビザ(V)
総括:中長期視点での買いチャンスを探るヒントに
ドイツ銀行の「フレッシュマネー」リストは2017年7月の開始以来、S&P500を上回るパフォーマンス(累積リターン241% vs S&P500の213%)を記録しており、今回の38銘柄も中長期の投資候補として注目されます。
特に、年初から株価が出遅れているが業績には確かな成長性が見られる銘柄や、セクター循環の波に乗る企業が多く含まれています。銘柄選定の参考として活用できそうです。
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