ビザが挑む次世代決済:ステーブルコイン覇権への第一歩

  • 2025年10月1日
  • 2025年10月1日
  • BS余話

ビザ(V)がステーブルコインの活用を本格化させ、アナリストから高い評価を受けています。2025年9月末に同社は、即時送金サービス「ビザ・ダイレクト(Visa Direct)」においてステーブルコインを利用するパイロットプログラムを発表しました。これにより、金融機関は事前に用意したステーブルコインを使って、リアルタイムでグローバル送金を行えるようになります。

この仕組みによって、従来のように各国市場ごとに口座残高を保有する必要がなくなり、資本効率の改善が期待されます。さらに、営業時間外でも即座に送金可能な点がビジネスユーザーにとって大きなメリットです。

米国みずほ証券「ビザはステーブルコインの勝者になる可能性」

米国みずほ証券のアナリストであるDan Dolev氏は、今回の発表を受けてビザ株に対して「アウトパフォーム」の評価を継続し、目標株価を425ドルに設定しました(現在の株価は約341ドル)。

Dolev氏がビザのステーブルコイン分野における強さを指摘する理由は2つあります。

1つ目は、ビザ・ダイレクトの圧倒的な普及率です。2016年から年率50%の成長を遂げており、現在ではビザのグローバルデビット決済の約20%(1兆ドル以上)を占めています。

2つ目は、ステーブルコインの発行・利用が今後さらに拡大する中で、安定した信頼性の高い決済パートナーが必要とされる点です。ビザのような既存の巨大プラットフォームが、その中核的な役割を果たすと予想されています。

クレジットカードの地位は不変

一方で、Dolev氏は、ステーブルコインがビザやマスターカード(MA)の既存ビジネスを脅かすものではないと指摘します。消費者の決済行動は容易には変わらず、従来のクレジットカードやデビットカードは依然として主力であり続けるという見方です。

実際、ビザ株に対しては、ファクトセットが追跡しているアナリストの約80%が「買い」またはそれに相当する評価を付けており、平均目標株価は395ドルと、現水準から約15%の上昇余地があるとされています。

投資家が注目すべきポイント

今回のパイロットプログラムは、一般消費者がすぐに実感するものではありませんが、ビザが今後の金融インフラにおいても中心的存在であり続けることを示す重要なサインと言えます。ステーブルコインの拡大が続く中、ビザのような決済大手が新たな潮流をどう取り込むかに注目が集まっています。

*過去記事「ビザが好決算でも株価下落、その理由とは?

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

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