2025年9月末、米投資情報メディア「バロンズ」は、AIバブルに対する懸念が和らぎつつある現状についての分析記事を公開しました。ドットコム・バブル期との類似性に触れつつも、現時点ではむしろ投資機会と捉える見方があることを紹介しています。
「AIバブル」の検索数と報道はピークを過ぎた
ドイツ銀行のアナリストであるエイドリアン・コックス氏とステファン・アブルーダン氏は、AIバブルに関する報道とインターネット検索が2025年8月にピークを迎え、その後は明らかに減少していると指摘しています。これは、市場参加者がAIの本質的な価値や導入に要する時間・コストを冷静に認識し始めている兆候と見られています。
ドットコム時代との類似と相違
現在の米国株市場では、株価やバリュエーションの水準が歴史的高値圏にある一方、1990年代後半のドットコム・ブームと重なる動きも観察されています。当時はナスダック指数が短期間に10%以上変動する局面が複数回あり、最終的に2000年3月のピークから2002年10月までに78%下落しました。
一方、現在は米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げムードや、景気刺激策「One Big Beautiful Bill Act」の効果もあり、堅調な景気と個人投資家の熱気が市場を支えています。
「バブル末期ではない」説とリスク
Catalystヘッジド・エクイティ・ファンドのポートフォリオマネージャーであるジョー・ティゲイ氏は、「テック株のバリュエーションは高く、調整が起こる可能性もある」としつつも、「まだバブルの終わりではなく、1999年から2000年にかけての“流動性フェーズ”に入ったばかり」と述べています。
また、オープンAIを中心としたAI企業への“ベンダーファイナンス”的な資金供給も再び注目されており、これがAIエコシステム全体にとっての新たなリスクとなる可能性も指摘されています。
「タイミングを図るよりも、持ち続ける」
ドイツ銀行の分析では、1996年に1万ドルを株式市場に投資して保有し続けた場合、2025年時点で17万ドル近くになっていたことが示されています。一方で、上昇率トップ10の日を逃すだけで半減、トップ20の日を逃すとさらに減少してしまうとのことです。
つまり、マーケットの天井や崩壊を予測して売買を繰り返すよりも、長期保有がリターンの最大化に繋がるという考え方が支持されているのです。
最後に:AIブームの今後をどう捉えるか
AI関連株に対する熱狂と懐疑が交錯する中、今回のバロンズ記事は「過度な悲観が和らいだ今こそ、次の成長フェーズに備えるべき時期」とも受け取れます。ドットコム・バブル期の教訓を踏まえつつ、冷静な視点で市場に向き合うことが求められています。
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