2025年第3四半期の終わりとともに、テスラ(TSLA)の世界販売台数速報が間もなく発表されます。例年どおり、テスラは具体的な発表日を設けておらず、四半期末の数日後に発表されるのが通例です。今回の速報は9月末から10月初旬にかけて発表される見込みです。
米国の税制優遇措置終了による「駆け込み需要」
アナリストの間では、「税制優遇措置終了前の駆け込み需要」により、販売台数が一時的に押し上げられた可能性があるとの見方が広がっています。バイデン政権によるIRA(インフレ抑制法)に基づくEV購入時の税制優遇が9月末で終了する可能性があるため、購入を急いだ消費者が多かったと考えられます。
RBCキャピタルのアナリスト、トム・ナラヤン氏は、第3四半期の販売台数をコンセンサスの448,000台を上回る456,000台と予想しています。ただし、年末に向けて廉価モデルの投入も予定されているため、一部の消費者が購入を見送った可能性もあると指摘されています。
欧州では販売不振が続く
一方で、欧州ではテスラの販売が苦戦しています。欧州自動車工業会(ACEA)のデータによると、2025年8月のEU域内におけるテスラの販売台数は8,220台で、前年同月比で約37%減となりました。年初からの累計では43%の減少となっており、市場の構造変化や競合の増加が背景にあるとみられます。
投資家の関心は“次の一手”に移行
テスラ株は最近、上下の激しい値動きが続いています。7日連続で上昇した後に、欧州の販売不振を受けて大きく下落しましたが、その後4%の反発を見せました。
今後の成長ストーリーとしては、EVの販売実績だけでなく、AI、自動運転、ロボタクシー、そして人型ロボット「Optimus」などの“具現化されたAI(embodied AI)”分野への期待が高まっています。ドイツ銀行は、これらの分野におけるマスク氏の明確なビジョンが、株価にかかっていた懸念を払拭すると評価しています。
決算見通しと投資家の注目点
現時点でのファクトセット調べのコンセンサス予想によれば、2025年Q3のテスラは売上249億ドル、調整後1株利益49セントと予想されています。これは前年同期の72セントから減少する見込みです。
販売台数の内訳や地域別データ、モデル別の販売数については、従来どおり詳細が公表される予定はなく、モデル3とモデルYを一括で報告し、それ以外の車両は「その他」に分類される形式が続きます。
まとめ
今回の四半期速報では、一時的な需要の先食いによる販売増か、あるいは実質的な回復基調にあるのか、判断が難しい状況です。販売速報後に発表される決算(10月中旬予定)で、より明確な方向性が見えることが期待されます。
EV市場の転換点を迎える中、テスラの次なる成長ドライバーに対する期待と懸念が交錯しています。投資家にとっては、単なる販売台数だけでなく、より長期的な戦略や新技術へのコミットメントが注目すべきポイントとなりそうです。
*過去記事はこちら テスラ TSLA
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