2025年9月25日、米国市場で注目されたエネルギー株のブルーム・エナジー(BE)とオクロ(OKLO)が大きく値を下げました。両社はこれまでAIデータセンター需要を背景に株価が急騰してきましたが、複数のアナリストが過熱感を指摘し、冷静な視点での見直しが進んでいます。
ブルーム・エナジー:73倍のPERに懸念
燃料電池メーカーであるブルーム・エナジーは、データセンターや病院向けに現地発電を可能にする装置を提供しています。天然ガスや水素を用いた燃料電池は、従来の発電所と比較して迅速に導入可能であり、AIインフラ需要と親和性の高いソリューションとして注目されてきました。
しかし、ジェフリーズ証券のアナリストは「ファンダメンタルズに対する熱狂(euphoria)」が先行していると警鐘を鳴らし、投資判断を「ホールド」から「アンダーパフォーム」に格下げしました。同社のPER(2026年予想)は73倍に達しており、エヌビディア(NVDA)など他のAI関連銘柄と比較しても割高とされます。
また、オラクル(ORCL)や電力会社アメリカン・エレクトリック・パワー(AEP)との提携が報じられているものの、具体的な収益寄与の時期や規模が見通しづらい点も評価のネックとなっています。
*過去記事「ブルーム・エナジー株に売りサイン?AIブームでも警戒すべき理由」
オクロ:高すぎる期待と政治的リスク
一方、次世代型の小型モジュール原子炉(SMR)を手掛けるオクロは、IPOからの株価上昇率が1000%超という急騰ぶりで話題となってきました。ゴールドマン・サックスはこのほど同社のカバレッジを開始し、目標株価117ドル・投資判断「中立(Neutral)」と発表しました。
オクロはすでに14ギガワット相当のバックログ(発電契約予定)のパイプラインを有していますが、現時点で確定した電力購入契約(PPA)は存在せず、収益化は2028年以降と見込まれています。2031年時点でも売上は3億ドル未満と予測されており、時価総額200億ドルという評価には慎重な見方が広がっています。
さらに、米エネルギー長官のクリス・ライト氏が以前オクロの取締役を務めていたことに対し、エドワード・マーキー上院議員が「利益相反ではないか」と懸念を表明。核燃料供給をめぐる安全保障上の問題も指摘され、政治的リスクも意識される状況です。
*過去記事「オクロ、第2四半期決算と米エネルギー省の発表で株価上昇」
投資家に求められる冷静な視点
AIブームがインフラ系銘柄にも波及する中、ブルーム・エナジーやオクロのように、「期待先行型」の企業に対する市場の評価が見直される局面を迎えつつあります。将来的な成長性を否定するわけではありませんが、現実的な収益計画と整合性の取れたバリュエーションが求められる段階に入ったといえそうです。
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