投資情報メディアのバロンズは2025年9月19日付けの記事で、エヌビディア(NVDA)とインテル(INTC)の最新の提携が、インテルにとってどのような意味を持つのかを詳しく論じています。この記事では、その要点を紹介しつつ、今後の展望についても整理します。
株式取得と提携によって得た4つの恩恵
今回の合意では、エヌビディアがインテル株を50億ドル分取得したことに加え、PCおよびデータセンター向けチップの共同開発が含まれています。これにより、インテルは以下の4つの利点を得ました。
- 資金調達の確保:エヌビディア、米商務省、ソフトバンクからの出資により、総額127億ドルを調達。2025年に削減された設備投資の穴埋めに活用される見込みです。
- 投資家の信頼回復:政府・大手企業の支援により「インテルは潰れない」という市場の安心感が広がり、株価が急上昇しました。
- PCチップの競争力強化:インテルのCPUとエヌビディアのGPUを組み合わせた統合チップにより、ゲーミングやオンデバイスAIの性能が向上し、差別化が可能になります。
- AIデータセンター市場への再参入:エヌビディアとの共同設計により、従来Armベースに押されていたAIサーバー市場でのシェア回復の可能性が生まれました。
それでも残された“最大の壁”
ただし、記事が最も強調しているのは「インテル最大の問題は未解決のままだ」という点です。それは、自社の製造技術(ファウンドリー)です。インテルはグローバルな半導体設計企業向けに製造代行を行う「ファウンドリービジネス」を打ち立てようとしていますが、台湾TSMCに大きく後れを取っているのが現実です。
現時点で、インテルのファウンドリーにはアップル(AAPL)やエヌビディアのような大口外部顧客が存在せず、収益構造は不安定です。次世代製造技術のコストを社内需要だけでまかなうことは難しく、外部顧客の獲得が必須とされています。
記者会見でも、エヌビディアのファウンドリー利用に関する質問が複数飛び交いましたが、両CEOは具体的な回答を避けました。むしろ、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOはTSMCの製造技術を「マジック」と称賛しており、インテルの技術力には明確な疑問符が付いたままです。
投資家にとっての判断材料
株価は一時的に大きく上昇しましたが、米国みずほ証券のアナリストであるジョーダン・クライン氏は「今回の材料は、インテル株の成長性を正当化するには不十分」として、他の高品質な半導体銘柄に投資することを推奨しています。同氏はその例として、エヌビディア、TSMC(TSM)、ブロードコム(AVGO)などを挙げています。
まとめ
インテルは今回の提携により、多くのポジティブな材料を得ました。しかし、最大の課題である製造技術の遅れという“本丸”が残されている限り、真の再評価はまだ先になりそうです。今後、ファウンドリー事業において大手顧客を獲得できるかが、インテル復活の鍵を握るといえます。
*過去記事「エヌビディア出資でインテル株急騰!“AI連合”の狙いとは?」
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