メタの最新スマートグラス、投資家を魅了するも普及には課題あり

2025年9月17日に発表されたメタ・プラットフォームズ(META)の最新製品「Ray-Ban Displayスマートグラス」は、AIとAR(拡張現実)の融合を体現する画期的なデバイスとして注目を集めています。しかし、日常生活への浸透にはまだ時間がかかりそうです。

Ray-Ban Displayの革新性

この新型スマートグラスは、レンズ内にディスプレイを内蔵し、メッセージ確認、写真・動画撮影、ライブ翻訳といった機能を提供します。操作は手首に装着するバンドを介したジェスチャーによって行われ、まるで未来のデバイスのような使用感を実現しています。

販売価格は799ドルで、9月30日から販売開始されます。アップルのVision Pro(3,500ドル)と比べれば手が届きやすい価格設定ですが、それでも「大衆価格」とは言いがたい水準です。

アナリストの評価と3つの課題

多くのアナリストは、メタがウェアラブル分野で前進したと評価しつつも、以下の3点が一般消費者への普及を阻んでいると指摘しています。

  1. 価格
     エバコアISIのマーク・マハニー氏は「799ドルという価格はユーティリティが伴えば大量販売に繋がる可能性がある」としつつも、ウィリアムブレアのラルフ・シャッカート氏は「30%の普及率を目指すには200ドル程度に価格を下げる必要がある」と分析しています。
  2. 重量とバッテリー
     今回のモデルは67グラムと、前世代の53グラムから重くなっています。オッペンハイマーのマーティン・ヤン氏は、この重量が一部ユーザーの負担になると見ています。また、最大6時間のバッテリー駆動時間も日常使用には物足りないとの声が多く、全日使用可能なスペックが求められています。
  3. アプリ開発環境の未整備
     現在のRay-Ban Displayは、外部開発者向けのSDK(ソフトウェア開発キット)が公開されておらず、独自アプリをグラス上で直接動かすことができません。スマートフォンとペアリングして使う「サブスクリーン」に過ぎない点が、拡張性の観点での弱点とされています。

普及には時間がかかるが、将来性は明るい

オッペンハイマーのサプライチェーン調査によると、メタは当面「数万台」規模の出荷を見込んでおり、2年間で15〜20万台の販売を予測しています。これは、大量普及とは程遠い水準です。

それでも、マハニー氏は「実用的な使い道」と「高精細な表示機能」が今後の展開に希望を与えると述べており、バンク・オブ・アメリカのジャスティン・ポスト氏も、今回の発表がReality Labs部門(年間200億ドル超の投資)への信頼感を高める要因になると評価しています。

まとめ

Ray-Ban Displayは、スマートグラスの未来を感じさせるデバイスであり、メタが現実世界とデジタルを融合させようとする長期的ビジョンの一端を示す製品です。現時点では価格、重量、バッテリー、開発環境といった課題が残るものの、今後のアップデートや価格改定次第では、ウェアラブル市場の主役となる可能性を十分に秘めています。

*過去記事「メタが新型スマートグラスを発表へ、AI戦略に投資家の期待高まる

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