オゼンピックが心疾患リスクを23%削減!ノボ・ノルディスク株が急騰

  • 2025年9月19日
  • 2025年9月19日
  • BS余話

2025年9月18日、ノボ・ノルディスク(NVO)の株価が急騰しました。背景には、糖尿病治療薬「オゼンピック(Ozempic)」の新たな有効性を示す実世界データの発表があります。

今回発表された研究は、アメリカのメディケア(高齢者向け公的保険)に加入する66歳以上の糖尿病および心血管疾患患者、約6万人を対象としたものです。その結果、オゼンピックの有効成分「セマグルチド(Semaglutide)」は、競合であるイーライ・リリー(LLY)の「トルシティ(Trulicity)」に比べて、心筋梗塞、脳卒中、死亡のリスクを23%も低下させることがわかりました。

ノボ・ノルディスクの次期最高医療責任者フィリップ・クラッグ・クノップ氏は、「このデータは臨床的エビデンスを補完する重要な情報であり、GLP-1受容体作動薬には明確な差があることを示している」と述べています。

GLP-1薬市場での競争が激化

GLP-1受容体作動薬は、食欲や血糖値を調整する腸ホルモンを模倣した薬であり、糖尿病だけでなく肥満治療にも応用が広がっています。

今回のデータを受け、ノボ・ノルディスクのADR(米国預託証券)は6.8%上昇し、62.17ドルとなりました。一方、イーライ・リリーの株価も0.7%上昇しましたが、相対的に市場の評価はノボに軍配が上がった形です。

欧州糖尿病学会で続くサプライズ

今回の研究結果は、2025年9月15日〜19日にウィーンで開催中の「欧州糖尿病学会(EASD)」にあわせて公開されたものです。この学会では、GLP-1系薬剤をめぐる注目発表が相次いでいます。

たとえばイーライ・リリーは、新しい経口型GLP-1薬「オルフォグリプロン」の詳細な試験データを公開。72週間で平均12.4%の体重減少を記録したと発表しました。また、同社は小児・青年向けの糖尿病治療薬「マンジャロ(Mounjaro)」の研究結果も明らかにしました。

ノボ・ノルディスクも、肥満治療薬「ウゴービ(Wegovy)」の経口版に関するデータを発表し、64週間で平均16.6%の体重減少を示したと報告しています。現在はFDAの承認を待ちながら、生産を前倒しして進めているとのことです。

投資家にとっての意味

今回の発表は、ノボ・ノルディスクがGLP-1市場での主導権を維持・拡大するうえで大きな追い風となるりそうです。特に高齢者向けの実世界データに基づく有効性は、保険適用や医師の処方判断において強力なアピール材料となります。

今後もGLP-1薬をめぐる技術革新と市場争奪戦は激化するとみられ、製薬セクターへの注目度はさらに高まっていくことが予想されます。

*過去記事「ノボ・ノルディスク新薬CagriSemaに失望?最新データが示す現実

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