サイバーセキュリティ企業のクラウドストライク(CRWD)の株価が、2025年9月18日の米国市場の午前での段階で11%上昇しました。今年に入ってからの株価上昇率は30%を超え、S&P500を大きく上回っています。
この株価上昇の背景には、同社が開催した年次イベント「Fal.Con」での発表内容が大きく影響しています。イベントでは、新たなAI製品の投入や中長期的なARR(年間経常収益)の成長見通しが明らかにされ、アナリストの期待を上回る内容となりました。
年間経常収益(ARR)の成長見通しに投資家が反応
Fal.Conでは、2027年度の「新規ARR」が前年比で20%増加するという見通しが示されました。これは市場予想の14%増を上回る水準であり、投資家の不安を和らげる内容となっています。
さらに、クラウドストライクはARRを「5年ごとに倍増させる」ことを目標として掲げており、2026年度末までに50億ドル、2031年度末までに100億ドル、2036年度末には200億ドルのARRを目指すとしています。
各証券会社の評価と目標株価
複数のアナリストがこれを好感し、目標株価の引き上げを発表しました。
- キーバンクのEric Heath氏は、AI機能とFalconプラットフォームの強みを評価し、目標株価を495ドルから510ドルへ引き上げ。「オーバーウェイト」の格付けを維持しました。
- 米国みずほ証券のGregg Moskowitz氏は、同社のクラウドセキュリティ戦略が他社と一線を画しているとし、目標株価を450ドルから475ドルに引き上げ。ただし、株価の割高感から「中立」評価を継続しています。
- グッゲンハイムのJohn DiFucci氏は、株価の評価に慎重ながらも、中期的なARR成長に対して強い信頼を示す姿勢を評価しています。
過去の障害を乗り越えた成長ストーリー
2024年7月、クラウドストライクのソフトウェアに関連した技術的な問題が大規模なシステム障害を引き起こし、マイクロソフト(MSFT)のOSに依存する企業やインフラに深刻な影響を与えました。この事件を受けて株価は220ドル台まで下落しましたが、その後1年で株価は2倍以上に回復しています。
今後の注目点
Fal.Conで示された中長期的な成長見通しとAI分野での積極投資が評価され、クラウドストライクは再び成長軌道に乗ったと考えられます。ただし、一部アナリストが指摘する通り、現在のバリュエーション水準(先行PER102倍)には注意が必要です。
*過去記事はこちら クラウドストライク CRWD
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