2025年9月17日、チケット再販プラットフォームのスタブハブ(StubHub)がニューヨーク証券取引所に上場し、ティッカー「STUB」で取引を開始しました。株価は一時8%近く上昇したものの、最終的には公開価格を下回る結果となりました。
初日の終値は公開価格を下回る展開に
スタブハブはIPOで3,400万株を1株あたり23.50ドルで売却し、総額8億ドルを調達しました。初値は25.35ドルまで上昇しましたが、終値は22ドルと公開価格を6%以上下回りました。時価総額は約81億ドルと、過去の買収時点と比較して大きく成長しています。
過去の買収歴と企業の歩み
スタブハブは2000年創業の企業で、2007年にはイーベイに3.1億ドルで買収され、2020年には欧州のViagogoに40億ドル超で再び売却されました。今回のIPOによる評価額は、過去の買収価格を大きく上回っており、注目が集まっています。
市場環境とIPO後の注意点
2025年はIPO市場に活気が戻っており、暗号通貨関連のサークル・インターネット・グループ(CRCL)やフィンテックのクラーナ(KLAR)、デザインソフト企業のフィグマ(FIG)などが好調なスタートを切っています。ただし、IPO直後に大きく上昇した銘柄が数カ月後に急落するケースも多く、特にロックアップ期間終了後に売り圧力が強まることがあります。
スタブハブも同様のリスクを抱えており、投資家は今後の業績発表やアナリストによるカバレッジ開始時の動向に注意が必要です。
チケット市場の競争激化と成長鈍化の懸念
スタブハブのライバルには、ライブネーション(LYV)が所有するチケットマスターや、ビビッド・シーツ(SEAT)、SeatGeekといった企業が存在しています。特にビビッド・シーツは、今年80%以上の株価下落に見舞われており、業界全体が競争と消費者支出の減速に直面していることがうかがえます。
さらに、スタブハブは二次流通だけでなく一次販売の強化も図っており、MLB(メジャーリーグベースボール)との提携による直接チケット販売の開始が発表されました。こうしたパートナーシップの拡充が成長の鍵となりそうです。
財務状況と「スウィフト効果」の影響
スタブハブの2025年前半の売上は8.3億ドルで、前年同期比3%の微増にとどまりました。2024年通年では前年比30%増の17.8億ドルでしたが、テイラー・スウィフトのツアー終了による影響が大きかったとされています。
CEOのエリック・ベイカー氏は、「スウィフト効果」を除けばGMV(流通取引総額)は前年比20%増だったと述べています。
なお、同社は2024年に280万ドル、2025年前半に7,600万ドルの赤字を計上しており、黒字化には至っていません。
株式構成とガバナンスへの懸念
創業者であるエリック・ベイカーCEOは、議決権付き株式の約88%を保有しており、企業運営に強い影響力を持っています。経営の透明性や株主還元方針については、今後の焦点となる可能性があります。
投資家へのメッセージと今後の展望
IPOに参加した投資家の中には、長期的な収益モデルに期待する声もあります。ベンチャーキャピタルのWestCapは「エアビーアンドビーのようなアセットライト(資産を持たない)ビジネスモデルが魅力」と語っています。
ただし、株価が短期的に乱高下する可能性もあるため、同社の業績や市場環境を慎重に見極める姿勢が求められます。ライブイベントのチケットと同じく、価格が落ち着くタイミングを見計らうことも、IPO株への投資では重要な視点となりそうです。
🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇