警察向けボディカメラやテーザー銃で知られるアクソン・エンタープライズ(AXON)が、AIを活用した緊急対応ソフトウェアを提供するスタートアップ「Prepared」の買収に向けて最終段階の交渉に入っているとThe Informaionが9月17日付けの記事で報じています。
買収額は8〜9億ドル、注目のスタートアップPreparedとは
Preparedは2019年にイェール大学の同級生3人によって設立され、緊急通報(911)におけるリアルタイムの音声・テキスト解析や翻訳機能を提供しています。同社のAIは、英語以外の言語で通報があった場合でも、即座に内容を翻訳・要約し、オペレーターや初動対応者に迅速な対応を促す支援をしています。
最近では、100以上の言語に対応したテキスト・画像の受信機能を強化し、「支援型AIプラットフォーム」としての進化を遂げています。
アクソンのAI戦略との親和性
アクソンは近年、ソフトウェア事業を急成長させており、売上の約半分をデバイスとソフトウェアの組み合わせによるサブスクリプション収益が占めています。2024年の売上は21億ドルに達し、時価総額は500億ドルを超えています。
同社はすでに「Draft One」という生成AIサービスを展開しており、ボディカメラの音声を元に自動で警察報告書を作成できる仕組みを導入。警察官の事務作業を効率化し、慢性的な人手不足の解消にも寄与しています。
Preparedの買収により、アクソンのAIエコシステムはさらに拡大し、緊急対応領域におけるシェアを一段と高めることが期待されます。
スタートアップ投資家と成長見通し
PreparedにはGeneral Catalyst、First Round Capital、Andreessen Horowitzなど著名なベンチャーキャピタルが出資しており、2025年5月の資金調達ラウンド時点での企業評価額は5.5億ドルとされています。現在の月次売上は250万ドル程度と見られていますが、今後はアクソンの販売網と統合することでスケールアップが可能になると考えられます。
まとめ
今回の買収交渉は、AIによって緊急対応の質とスピードを向上させるという大きな流れの一環であり、警察・消防・医療などの現場において実用的なAI導入が進んでいることを示しています。アクソンのAIビジョンとPreparedの技術が融合することで、公共安全の現場に新たなイノベーションが生まれるかもしれません。
今後の正式発表に注目です。
*過去記事はこちら アクソン AXON
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