AI投資ブームの落とし穴?アルファベット・メタ・アマゾンに迫る減価償却リスク

2025年、アルファベット(GOOGL)、メタ・プラットフォームズ(META)、アマゾン(AMZN)といったビッグテック企業は、AIインフラ整備のために巨額の設備投資を行っています。その規模は3社合計で2740億ドルに達すると見込まれています。しかし、こうした投資には、意外な落とし穴があるとバンク・オブ・アメリカ(BofA)は指摘しています。

減価償却費の急増が利益を圧迫する可能性

通常、データセンターやGPUといった資産は、購入時に全額を費用として計上せず、使用期間に応じて「減価償却費」として分割計上されます。ところが、AI分野では技術革新のスピードが非常に速く、これまでより短い耐用年数で計上せざるを得ない可能性があります。

BofAのアナリストであるジャスティン・ポスト氏は、「ウォール街は、増加する減価償却費を過小評価しており、企業の実際の利益率を過大に見積もっている」と警告しています。とりわけ、2026年以降の費用圧力が懸念されています。

ウォール街予想とのギャップが拡大

以下は、BofAの減価償却費の見積もりとストリート(市場コンセンサス)とのギャップです。

企業年度BofA予想ストリート予想差分
アルファベット2027年435億ドル365億ドル+70億ドル
メタ2027年407億ドル372億ドル+35億ドル
アマゾン2027年959億ドル886億ドル+73億ドル

とくに注目すべきは、GPUなどのハードウェアが従来のIT機器よりも寿命が短い可能性がある点です。アマゾンはすでに、ネットワーク機器の耐用年数を6年から5年へと短縮しており、この動きが他社にも波及する可能性があります。

インフラ投資過剰のリスクも

AI関連収益が減価償却費の増加スピードに追いつかなければ、マージンの低下に直結します。さらに、AIインフラの供給過剰によって、価格競争が激化するリスクもあります。これは、AI製品の「コモディティ化」と利益率の悪化を招く恐れがあります。

BofAは、3社の合計売上成長率を2026年で13%、2027年で12%と予測している一方、減価償却費はそれぞれ33%、30%の伸びを見込んでおり、明確なアンバランスが生じています。

まとめ:AI投資ブームの“代償”に要注意

アルファベット、メタ、アマゾンは2026年に合計3330億ドルの設備投資を予定していますが、AIインフラの急速な構築の裏では、見過ごされがちな減価償却リスクが確実に蓄積しています。AIによるマネタイズが想定通りに進まない場合、株価への影響も無視できない段階に来ているといえます。


このような「見えにくいコスト構造」こそ、投資家が注目すべきポイントかもしれません。今後も各社の決算資料や耐用年数の見直し動向に注視する必要があります。

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