2025年8月にリリースされた画像編集機能「ナノ・バナナ(Nano Banana)」の人気が爆発し、グーグルのAIアシスタント「Gemini(ジェミニ)」が米国App Storeで無料アプリランキング1位に浮上しました。これにより、オープンAIの「ChatGPT」はランキング2位に後退し、AIチャットボット市場の競争がさらに激化しています。
ナノ・バナナとは?圧倒的な画像編集体験
ナノ・バナナは、ユーザーがGeminiアプリに画像をアップロードし、AIにより高度な編集を行える機能です。グーグルの「Gemini 2.5 Flash」という最新のAI技術を搭載しているとされ、その高い性能から注目を集めています。
特に評価されているのは、被写体の一貫性を保ちながら繰り返し編集できる点で、従来のAI画像生成とは一線を画しています。画像の合成や加工もシームレスに行え、2025年8月26日の公開からわずか数週間で5億枚以上の画像が編集されたと報じられています。
生成AI競争の主戦場は画像領域へ
市場調査会社Radio Free Mobileの創設者リチャード・ウィンザー氏によると、グーグルは長年にわたり「計算写真(computational photography)」の分野で実績を重ねており、そのノウハウがGeminiの差別化につながっているといいます。一方で、テキストからの画像生成という領域では依然としてオープンAIが優位にあると指摘しています。
ただし、画像生成と編集はチャットボットの利用目的として、検索やスキル学習に次いで3番目に多い用途とされており、Geminiがこの分野でユーザーを獲得すれば、AIアシスタント全体としての存在感を高める可能性があります。
ChatGPTの優位は揺らぐのか?
エバコアISIの調査によれば、現在の生成AI利用者のうちChatGPTは53%、Geminiは43%のシェアを保持しています。しかし、Geminiのユーザー満足度は高く、検索結果の品質においてChatGPTとの差が見られないことから、今後のシェア逆転も視野に入る状況です。
とりわけナノ・バナナの成功がその引き金となる可能性が高く、ウィンザー氏は「もしGeminiがChatGPTを上回る消費者向けAIアプリになれば、オープンAIにとって壊滅的な影響がある」と警鐘を鳴らしています。
AIアプリ戦争の最前線はApp Storeへ
アプリランキングは、AI企業にとってブランド力とユーザー獲得の象徴的な戦場となっています。先月、イーロン・マスク氏は、自身のAIチャットボット「Grok」がApp Storeで不当に低く扱われているとしてアップルを提訴するなど、競争は激しさを増しています。
ChatGPTの初動の優位性が揺らぎ始めた今、ナノ・バナナのような個別機能が大きな差別化要因となる時代が到来しています。今後もGeminiとChatGPTの争いから目が離せません。
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