2025年9月15日、テスラ(TSLA)のCEOであるイーロン・マスク氏が、約10億ドル相当の同社株を市場で購入したことが明らかになりました。このニュースを報じたバロンズの記事によると、マスク氏が自ら市場で株を購入するのは2020年2月以来、実に4年半ぶりとのことです。
今回の購入により、マスク氏の保有株数(オプションを除く)は4億1,300万株に達しました。市場はこのニュースに好意的に反応し、テスラ株は15日の米国市場の昼過ぎの段階で5.5%上昇しました。
テスラのAI戦略とロボット構想が背景に
マスク氏が自信を示す背景には、テスラのAI分野への積極的な取り組みがあります。同社は2025年6月、テキサス州オースティンで自動運転タクシーの試験運用を開始しており、2026年にはヒューマノイド・ロボットの大量販売を目指しています。
マスク氏は、これらの技術が将来的にテスラの株主に数兆ドル規模の価値をもたらす可能性があると発言しています。
とはいえ「今が買い時」とは言い切れない理由
確かにCEOの自社株買いはポジティブサインですが、テスラ株が現在取引されている水準は非常に高く、2026年の予想利益ベースでPERは約168倍。マグニフィセント・セブンと呼ばれる他のハイテク企業平均の約28倍を大きく上回っています。
また、2025年上半期のEV納車台数は前年比13%減の72.1万台にとどまっており、販売面での逆風も無視できません。
過去の急落時が買い時だったケースも
バロンズは、2023年1月にテスラ株を推奨した以外は、基本的に慎重なスタンスをとってきました。ちょうどその頃、マスク氏によるTwitter(現X)の買収騒動があり、株価は100ドル強にまで下落していました。その後、1年で株価は2倍以上に上昇しました。
このように、テスラ株は極端な値動きを見せる傾向があり、「悲観ムードのときに買い、楽観ムードのときは様子見」が基本戦略と考える投資家も少なくありません。
マスク氏の報酬パッケージも注目ポイント
記事では、現在検討中のマスク氏の報酬パッケージについても触れられています。これが承認されれば、最大で4億2,500万株のオプションが付与される見通しで、すべての条件を達成すれば理論上の価値は約1兆ドルに達する可能性があります。
その条件の一つは、テスラが年間EBITDAで4,000億ドルを達成すること。もう一つは、時価総額で8.5兆ドル(1株あたり2,100ドル相当)を達成することです。
投資家へのメッセージ:過熱感には要注意
今回のマスク氏の株購入は、間違いなく市場に安心感を与えました。しかし、それがそのまま「今が買い時」というシグナルになるとは限りません。
記事では、「株価が安いときに多く持ち、高いときにはポジションを控えめにする」という考え方が紹介されています。つまり、楽観一辺倒ではなく、冷静な判断と資金管理が重要だということです。
*過去記事はこちら テスラ TSLA
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