米国時間2025年9月15日、エヌビディア(NVDA)の株価は、プレマーケットで2%以上下落しました。その背景には、中国政府の規制当局が同社の独占禁止法違反を認定したという報道があります。
問題の発端はMellanox買収
中国国家市場監督管理総局(SAMR)は、エヌビディアによるイスラエルのネットワーク機器メーカーMellanox Technologiesの買収に対して、「制限付き承認」で認可したことに関連し、同取引に独禁法違反があったと暫定的に判断したと発表しました。
この件に関して、SAMRは「法に基づきさらなる調査を行う」と述べています。エヌビディアは2019年にMellanoxの買収を発表し、2020年4月に最終的な承認を得て買収を完了していました。
エヌビディアに対する圧力と中国市場の重要性
報道によれば、中国当局は当時、エヌビディアに対し、現地企業への半導体供給継続を条件に買収承認を与えたとされます。また、2025年春には米国が中国向けに高性能AIチップの輸出を禁止しましたが、その後、エヌビディアは中国市場専用の「H20チップ」を開発し、輸出制限に対応する動きを見せていました。
しかし、中国政府は国内企業に対し、エヌビディア製チップの使用を控えるよう奨励しているとされ、安全保障上の懸念が理由に挙げられています。
エヌビディアの直近の決算については、アナリストの間で評価が分かれており、中国市場への過度な依存に警鐘を鳴らす声も出ています。同社の中国関連売上は年間135億ドルに達し、グローバル売上の12%を占めるほどの重要市場となっています。
米中貿易交渉と他の動き
この発表は、米国のスコット・ベッセント財務長官およびジェイミソン・グリア通商代表がスペイン・マドリードで中国の何立峰副首相および李成刚交渉官と貿易協議を行っている最中に出されました。ベッセント氏は、バイトダンス傘下のTikTokを米国内で継続させる合意が近づいていると述べていますが、その成立には中国側の譲歩が必要だとも示唆しています。
さらに、中国は9月14日、米国製アナログ半導体に対して「反ダンピング調査」を開始することも発表しました。対象にはテキサス・インスツルメンツ(TXN)の製品が含まれ、同社の株価は2%以上下落しました。一方で、中国国内の半導体企業であるSG Microや蘇州ノボセンス・マイクロエレクトロニクスは、現地市場で急騰しました。
今後の注目点
中国による独占禁止法違反の最終判断や、追加的な制裁措置がエヌビディアの中国戦略に与える影響が注目されます。また、米中間の貿易交渉や、半導体規制を巡る対立の行方にも引き続き注視が必要です。
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