2025年9月11日、米国株式市場でワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)株が大きく上昇しました。背景にあるのは、「ウォール・ストリート・ジャーナル」による、パラマウント・スカイダンス(PSKY)が同社の買収を検討しているとの報道です。
パラマウントが過半を現金で買収する構え
報道によると、パラマウント・スカイダンスはワーナー・ブラザースを過半の現金で買収する提案を準備しているとされており、両社ともコメントは控えている状況です。現在の時価総額は、ワーナー・ブラザースが約393億ドルに対し、パラマウント・スカイダンスは約178億ドルと、買収対象の方が倍以上の規模になります。
WBD株は過去最高の上昇率に
この報道を受けて、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの株価は一時27%高の15.92ドルまで上昇し、S&P500構成銘柄の中でも最も大きな上昇率となりました。パラマウントの株価も14%上昇し、投資家の注目の高さがうかがえます。
アナリストはIP価値やコンテンツ力に注目
シーポートのアナリストであるデビッド・ジョイス氏は、WBD株を「買い」と評価しており、目標株価を15ドルとしています。同氏は、今回の買収案が示すのはワーナー・ブラザースの持つ知的財産(IP)やコンテンツ制作力、HBO Maxの世界展開、そしてCNNなどのケーブルネットワークからの安定的なキャッシュ創出能力だと指摘しています。
特に今年は『Sinners』『Superman』『F1: the Movie』などの劇場公開作品が好調で、同社の制作力が再評価されていることも今回の急騰につながっていると考えられます。
ワーナーは6月に2社体制へ移行を発表済み
ワーナー・ブラザースはすでに2025年6月に、事業を2社に分割する計画を発表しており、映画スタジオとHBO Maxを中心とする「ストリーミング・スタジオ部門」と、CNNなどを含む「ケーブルネットワーク部門」に分かれる予定です。
しかし、今回の報道によれば、パラマウント・スカイダンスはそのすべての事業を一括で取得する方針であるとされており、M&Aの行方に大きな注目が集まっています。
規制当局と過去の動き
パラマウントとスカイダンスの合併はすでに2025年7月に米連邦通信委員会(FCC)の承認を受けており、その際にはCBS(パラマウント傘下)を巡るトランプ大統領との訴訟も1600万ドルの支払いで和解済みとなっています。
このように、規制面ではすでに前提条件が整っていることから、今回の買収案も現実味を帯びていると見る向きがあります。
今後の展開に注目
今回の報道はあくまで「関係筋による話」として報じられており、正式な買収提案が行われるかどうかは不透明です。しかし、両社の株価が大きく反応したことからも分かるように、メディア・エンターテインメント業界の再編は今後さらに加速していく可能性があります。
引き続き、正式な発表や今後の動きに注視が必要です。