米ナスダック市場に新たに登場したブロックチェーン企業「フィギュア・テクノロジー・ソリューションズ(Figure Technology Solutions、ティッカー:FIGR)」の株価が、IPO初日である9月11日の米国市場で約30%上昇しました。IPO価格は1株25ドルに設定され、初値は36ドル。その後一時的に押し戻されたものの、32ドル前後で推移しています(米国東部夏時間13:50現在)。
この動きは、投資家の間で暗号資産関連ビジネスへの関心が依然として強いことを示しています。
暗号資産関連IPOの波、ジェミニやレジェンスも控える
今週はIPO市場が活況を呈しており、フィギュア・テクノロジーに続いて、暗号通貨取引所「ジェミニ・スペース・ステーション(Gemini Space Station、ティッカー:GEMI)」も9月13日(金)に上場予定です。同社も需要増を受けてIPO価格のレンジを引き上げたと報じられています。
この他にも、HVAC関連の「レジェンス(Legence、ティッカー:LGN)」、交通インフラの「ヴィア・トランスポーテーション(Via Transportation)」、カフェチェーンの「ブラック・ロック・コーヒー・バー(Black Rock Coffee Bar、ティッカー:BRCB)」など、複数の企業が上場を控えており、IPO市場の熱気はしばらく続きそうです。
フィギュア・テクノロジーの事業概要と強み
フィギュア・テクノロジーは、住宅資産担保ローン(HELOC)を中心とした貸付・融資マーケットプレイスをブロックチェーン上で提供するフィンテック企業です。設立は2018年で、共同創業者のマイケル・キャグニー氏は、「ソーファイ・テクノロジーズ(SOFI)」の元CEOとしても知られています。
キャグニー氏はIPO目論見書で「フィギュアはパブリックブロックチェーン上で最大のリアルワールド資産プレイヤーであり、競合はまだ追いついていない」と述べています。
同社の強みは、160社以上のパートナーと連携し、これまでに160億ドル超のホームエクイティローンを支援してきた実績にあります。また、「フィギュア・コネクト(Figure Connect)」という信用マーケットプレイスや、「デモクラタイズド・プライム(Democratized Prime)」と呼ばれるオンチェーン融資市場など、複数のサービスを展開しています。
IPOで7.8億ドルを調達、収益も黒字化
フィギュア・テクノロジーは今回のIPOで3,150万株を発行し、約7億8,750万ドルを調達しました。当初の想定価格レンジは18〜20ドルでしたが、最終的には20〜22ドルに引き上げられ、発行株数も増加しました。
業績面では、2024年上半期に売上1億9,100万ドル、純利益2,900万ドルを計上。前年同期は1億5,600万ドルの売上に対し、純損失1,300万ドルだったことを考えると、急速な業績改善が見られます。
2024年通期では、売上3億4,100万ドル、純利益1,720万ドルと、こちらも前年(売上2億960万ドル、純損失4,794万ドル)から大きく伸長しました。
IPO市場全体への影響と今後の展望
フィギュア・テクノロジーの好調なデビューは、2025年のIPO市場が引き続き活気づいていることを示しています。IPO ETFである「ルネッサンスIPO ETF(Renaissance IPO ETF、ティッカー:IPO)」は年初来で22.5%上昇しており、「S&P500指数(SPX)」の11.9%上昇を大きく上回っています。
IPO市場の活性化は、民間資本市場で成長してきた企業の上場需要や、暗号資産・AI・データセンターといった成長分野の後押しを背景にしています。フィギュア・テクノロジーのような収益化に成功しているフィンテック企業が投資家からの関心を集めるのは、こうした文脈の中で非常に自然な流れだといえます。
*過去記事「2025年秋のIPOラッシュ到来──注目の6社を一挙紹介」
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