米国の広告テクノロジー企業トレードデスク(TTD)の株価が2025年に入り大きく下落しています。9月10日にはモルガン・スタンレーの格下げを受けて、10%超の下げを記録し、年初来での下落率は60%近くに達しました。
今回のレポートでは、同社の成長に対する懸念と広告市場全体の構造的な変化が指摘されています。
モルガン・スタンレーが目標株価を50ドルに引き下げ
モルガン・スタンレーのアナリストは、トレードデスクのレーティングを「オーバーウェイト」から「イコールウェイト」に引き下げ、目標株価を従来の80ドルから50ドルに修正しました。
この変更は、以下の3つの要因によるものです。
- コネクテッドTV(CTV)広告分野の成長鈍化
- オープンウェブ広告市場の低迷
- 広告主からの手数料への反発と競合の台頭
特にCTVは、トレードデスクにとって過去8四半期連続で30%以上の成長を支えてきた重要分野でしたが、直近では11%まで減速しています。
高すぎる手数料とアマゾンの台頭
モルガン・スタンレーによれば、トレードデスクの手数料(テイクレート)は他の広告プラットフォームの2倍に達し、広告主からの抵抗が強まっているといいます。
さらに、アマゾン(AMZN)はロク(ROKU)やディズニーといった大手メディア企業と提携を進め、CTV分野での存在感を拡大しています。これにより、トレードデスクの市場シェアが脅かされています。
オープンウェブ広告は構造的に衰退?
トレードデスクは従来、アルファベット(GOOGL)やメタ・プラットフォームズ(META)Googleやといった「ウォールドガーデン型」のプラットフォームに対抗する「オープンインターネット」の旗手とされてきました。しかし、AIによる「ゼロクリック検索」の普及などにより、オープンウェブ広告のトラフィックが減少傾向にあります。
モルガン・スタンレーは、トレードデスクのオープンウェブ広告収入が今後4年間で毎年2桁の減収になると予測しています。
会社側は「オープンインターネットの価値は変わらず」と主張
こうした懸念に対し、トレードデスク側はオープンインターネットの利点を改めて強調しています。メタやアルファベットのような自社メディア中心の広告とは異なり、ストリーミングTV、ライブスポーツ、映画、デジタル音声など多様なチャネルでオーディエンスにリーチできると説明しています。
今後の注目ポイント
モルガン・スタンレーは「さらなる格下げの可能性は否定できない」としつつも、株価がすでに大きく下がっているため、これ以上の下落余地は限られる可能性があるとも述べています。今後数四半期の業績動向が、同社の株価トレンドを占う重要な材料となりそうです。
*過去記事はこちら トレードデスク TTD
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