クラーナがIPO価格を40ドルに設定、上場初日は注目の展開に

  • 2025年9月10日
  • 2025年9月10日
  • BS余話

スウェーデンのフィンテック企業クラーナ(KLAR)は、2025年9月9日にニューヨーク証券取引所(NYSE)での新規株式公開(IPO)の価格を1株あたり40ドルに決定しました。これは、事前に提示されていた価格レンジ35〜37ドルを上回る水準です。IPOを通じて調達された資金は13億7000万ドルとなり、同社の企業価値は151億ドルに達しました。

上場概要とティッカーシンボル

クラーナは今回のIPOで3430万株を発行し、全体の発行済株式数3億7800万株のうち約9%を市場に提供します。ティッカーシンボルは「KLAR」で、9月10日(水)から取引が開始されます。

今回のIPOは、テクノロジー株の新規上場が活発化している流れの中で実施されました。同時期には、ステーブルコイン発行企業のサークル・インターネット・グループ(CRCL)、ソフトウェア企業フィグマ(FIG)、仮想通貨取引所のブリッシュ(BLSH)なども上場を果たしており、今週中にはジェミニ・スペース・ステーションも市場デビューを予定しています。

クラーナの事業展開と競争力

クラーナは2005年に「後払い(BNPL)」サービスの提供企業として設立されましたが、現在では欧州で銀行ライセンスを取得し、クレジットカードやデビットカードの提供も行っています。買い物時の利便性を高め、オンライン決済のエクスペリエンスを革新することで、金融業界に変革をもたらす存在となっています。

同社は世界26か国の事業者と連携しており、最大の市場はアメリカと位置付けています。第2四半期には、記録的な件数の取引が期日通り、または前倒しで支払われたと発表しており、支払い能力の健全化を強調しました。

トランプ政権の関税と上場延期の背景

クラーナは2025年3月にIPOの登録書類を提出していましたが、トランプ大統領が導入した「解放の日」関税によって市場が混乱し、当初の上場スケジュールは延期されました。

関税の影響で国際的な金融市場が動揺する中、クラーナはタイミングを見極め、ようやく安定した状況での上場を果たすことになりました。

財務面の懸念材料も

一方で投資家の一部は、クラーナの業績に対して慎重な姿勢を見せています。同社は2025年第1四半期に9900万ドルの純損失を計上しており、第2四半期も5200万ドルの赤字となっています。これは、前年同時期の1800万ドルから大幅に悪化した数字です。

特に、BNPLサービスの利用者によるローン返済の延滞がメディアで取り上げられたことが、成長性への疑念を招いています。

今後の見通しと投資家の注目点

クラーナは伝統的な銀行業務に挑戦する革新的なサービスを展開しており、グローバル展開の加速とともに、IPOを機にさらなる成長を目指しています。

同社が掲げる「デジタル時代の次世代金融インフラ」としてのポジションが今後どれだけ市場に評価されるか、上場後の株価動向に注目が集まります。

*過去記事「2025年秋のIPOラッシュ到来──注目の6社を一挙紹介

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