米投資情報メディアのマーケットウォッチが、エネルギーセクターが現在S&P500構成セクターの中で最も割安であることを指摘し、長期視点での投資妙味を解説しています。この記事では、その要点を紹介します。
エネルギーセクターはS&P500で最も低いバリュエーション
ファクトセットのデータによると、S&P500の中で最も低いフォワードP/E(予想株価収益率)を持つのがエネルギーセクターです。2025年9月時点でのフォワードP/Eは「15.4」。これは、S&P500全体の平均「22.3」を大きく下回っています。
パフォーマンス面では、2025年の年初来リターンが「7.5%」、過去3年では「19.6%」と、全体平均を大きく下回っていますが、逆に言えば割安で放置されているとも言えます。
長期投資家向けの注目銘柄
記事では、ガベリやクリアブリッジといった著名運用会社のエネルギーアナリストの見解が紹介されており、以下の個別銘柄が長期視点で有望とされています。
- ナショナル・フュエル・ガス(NFG)
米国北東部に天然ガス資産を持つ企業で、フィラデルフィア周辺のデータセンター需要に対応可能。 - キンダー・モルガン(KMI)
パイプラインとLNGターミナルを保有する企業で、安定したインフラ資産が魅力。
*過去記事「天然ガス×AI時代の本命銘柄?──キンダー・モルガンをバロンズが高評価」 - シュルンベルジェ(SLB)
世界有数の油田サービス会社で、フリーキャッシュフロー利回り11%超と高収益性を誇る。 - シェブロン(CVX)
ヘスの買収によりガイアナ沖の生産能力を拡大。長期的なフリーキャッシュフローの成長が期待される。 - EQT(EQT)
天然ガスに特化した米国企業で、垂直統合されたビジネスモデルが特徴的。 - シェニエール・エナジー(LNG)
米国最大の液化天然ガス輸出企業であり、今後のLNG輸出増加の恩恵を受けると予測される。
天然ガスに注目が集まる背景
近年の生成AIやデータセンターの急増により、電力需要が高まり、それに伴い天然ガスの役割が拡大しています。天然ガスは、石油よりも供給不足が起きにくく、データセンターなどの持続的な電力需要に対応しやすいと指摘されています。
記事では、「2026〜2027年に米国のLNG輸出能力が約30億立方フィート増加する」との予測も紹介されており、今後数年で米国産天然ガスの国際的な価値が高まる可能性があるとしています。
石油市場は過剰供給で逆風も、米シェールは減速傾向
原油市場は、OPEC諸国やガイアナからの供給増により、2026年にかけてやや供給過剰が意識される状況です。しかし、米国のシェールオイル生産が減速しており、2026年以降には供給バランスが改善する可能性もあります。
シュルンベルジェのようなサービス企業や、ガイアナに注力するシェブロンのような企業は、この先の原油価格安定局面でも利益を出しやすい体質を持つと紹介されています。
投資判断のカギは「フリーキャッシュフロー」
クリアブリッジのサム・ピーターズ氏は、株式投資において「フリーキャッシュフローこそが最も重要な指標」と述べています。特に、価格下落局面でもキャッシュを生み出し続けられる企業は、長期投資において安定したリターンを生み出す可能性があります。
たとえばシュルンベルジェは、現在のフリーキャッシュフロー利回りが約11%とされており、仮に株価が停滞しても堅実な配当と内部成長が期待できるとしています。
まとめ:割安・高配当・成長性を兼ね備えたセクターに注目
エネルギーセクターは、過去3年間のパフォーマンスではS&P500の他セクターに劣後していますが、バリュエーションと将来需要、インフラとしての重要性を踏まえると、長期的には見直される可能性が高いと考えられます。
生成AIによる電力需要増と、それに伴う天然ガス需要の高まりを見越して、今のうちからポジションを作っておく戦略は、十分に理にかなったアプローチといえそうです。
*過去記事「原油価格下落でも買い!プロが厳選した注目のエネルギー株13選【2025年最新版】」
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