オープンAI、過去最大級のキャッシュバーン予測──2030年に向けた壮大な投資とは

  • 2025年9月7日
  • 2025年9月7日
  • BS余話

人工知能(AI)の最前線に立つオープンAIが、今後数年間で1,150億ドルという巨額のキャッシュを消費する見通しを明らかにしました。The Informationが2025年9月5日に公開したレポートよると、この数字は半年ほど前の予測より800億ドルも高く、同社が「世界で最も資本集約的なスタートアップ」と呼ばれるゆえんを裏付けています。

データセンターと独自サーバーへの巨額投資

オープンAIが提示した新たな予測では、2027年に350億ドル、2028年には450億ドルを消費する計画であり、特に自社サーバーとデータセンター構築に関わる支出が大きく膨らむとされています。これは、AWSのように他社にサーバーを提供する事業展開も視野に入れたもので、The Informationの取材によれば約1,000億ドルがこのインフラに投じられる可能性があります。

チャットGPTの急成長が収益を押し上げ

収益面では、チャットGPTが大きな追い風になっています。オープンAIは、2025年の総売上を130億ドル、2030年には2,000億ドルに達すると予測しています。The Informationの記事では、チャットGPT単体で2025年に100億ドル、2030年には900億ドルの収益を生むとされ、これまでの予測を大きく上回るとのことです。

無料ユーザーからの収益化とFacebook並みの利益率

The Informationの報道によれば、オープンAIは無料ユーザーからの収益化にも注力しており、アフィリエイトや広告、eコマース連携によって2026年から2030年の間に1,100億ドルの売上を見込んでいます。1ユーザーあたり年間15ドルの平均収益、80〜85%の利益率といった目標は、メタ(旧Facebook)のビジネスモデルに似た設計となっています。

APIやエージェント製品の見通しは引き下げ

一方で、アプリケーション向けAPIや「エージェント」関連プロダクトからの収益見通しはそれぞれ50億ドル、260億ドル引き下げられました。ただし、これらの機能がチャットGPTに統合される可能性もあり、総収益への影響は限定的だとThe Informationは伝えています。

ソフトバンクなどが5,000億ドル評価で投資を検討

The Informationによれば、ソフトバンク、Thrive Capital、Dragoneerなどの大手投資家は、オープンAIの株式を5,000億ドルの企業価値で購入しようとしています。これは、わずか半年前の2倍近い水準であり、同社の将来性に対する期待が強いことが伺えます。

なお、マイクロソフトはオープンAIの最大の外部株主であり、同社の収益の20%を受け取る契約がキャッシュフローモデルにも反映されています。

IPOへの道筋とガバナンスの課題

現在、営利部門を非営利団体が統括しているという特殊な構造上、オープンAIの投資家は「将来の利益分配を受け取る権利」のみを保有しています。The Informationの記事では、将来的なIPO(株式公開)を目指し、通常の株式形態への転換を模索していると報じられていますが、イーロン・マスク氏やマイクロソフトとの契約上の問題が障壁になる可能性もあるとされています。

まとめ:成長の代償か、それとも投資の好機か?

オープンAIは、収益成長と同時に、かつてない規模のコストを伴う道を歩んでいます。The Informationの分析は、同社がAI革命の中心にありながら、資本構造や事業モデルの進化が急務であることを明らかにしています。

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG