判決で急騰したアルファベット株、投資家にとっては「分割」の方が良かった?

2025年9月3日、アルファベット(GOOGL)の株価は急騰し、過去最高値を更新しました。これは、米連邦地裁のアミット・メータ判事が下した「Google検索の独占に対する緩やかな是正措置」の影響を受けたものです。しかし、バロンズ誌の分析によれば、「分割されなかったこと」が、長期的には株主にとって残念な結果となる可能性があると指摘されています。

判決の内容と株式市場の反応

メータ判事の判断では、Googleに対してChromeブラウザの売却やアップル(AAPL)への検索エンジン優遇支払いの禁止といった強硬策は課されませんでした。この柔軟な対応に投資家は安堵し、アルファベット株は3日の米国市場で9.1%上昇し、終値ベースで過去最高の230.66ドルに到達しました。

「部分の合計」のほうが価値がある?

バロンズは以前から、アルファベットが持つ各事業の価値を個別に評価する「SOTP(Sum of the Parts)」の観点から、企業分割による価値向上の可能性を指摘してきました。Google検索以外にも、同社は以下のような重要事業を多数抱えています。

  • YouTube(動画プラットフォーム)
  • Waymo(自動運転タクシー)
  • Google Cloud(クラウドサービス)
  • Android(モバイルOS)
  • AIチップ事業(独自開発のTPUなど)

それぞれを競合他社と比較すると、以下のような仮想的な評価が可能です。

  • Google Cloud → アマゾンやマイクロソフトと比較
  • YouTube → メタ・プラットフォームズやNetflixと比較
  • Waymo → テスラと比較
  • Android → アップルのiOSと比較

これらを合算すると、アルファベット全体の企業価値は3兆ドルを超えると見積もられており、これは現在の株価水準を大きく上回ります。

AIと半導体も隠れた成長ドライバー

最近では、AI分野の評価額も高騰しています。オープンAIの評価額は5000億ドルに達しており、GoogleのGeminiなどのAIツールも高く評価されつつあります。さらに、同社が開発するAIチップは、Google Cloud以外のクラウド事業者にも販売されており、半導体分野でも新たな収益源が生まれています。

アルファベット全体の2026年のフリーキャッシュフローは800億ドルと推定されており、その多くは検索事業から生み出されていますが、今後はAIやクラウドがより大きな役割を担っていくと見られています。

株主にとって最善の道だったのか?

結果的に、アルファベットは企業分割を免れましたが、バロンズ誌は「長期的には分割された方が、株主にとってより大きなリターンをもたらしていた可能性がある」と述べています。分割によって、各事業の真の価値が市場に評価されやすくなり、投資家にとってはより透明性の高い判断材料が得られたかもしれません。

まとめ

アルファベットは引き続き強力なビジネスモデルとキャッシュフローを持つ優良企業ですが、「もし分割されていたら……」という仮定のもとでの評価は、投資家にとって興味深い視点を提供しています。SOTPという考え方は、単なる理論ではなく、今後の投資判断においても有効なツールとなるかもしれません。

*過去記事 アルファベット GOOGL


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