中国当局の圧力にも負けず、エヌビディアAIチップへの関心は衰えず

ロイターは2025年9月4日、中国の主要テック企業であるアリババ(BABA)、バイトダンス、テンセント(TCEHY)などが、アメリカからの規制圧力が続く中でも、エヌビディア(NVDA)のAIチップに対して依然として強い関心を示していると報じました。

注目される「H20」および「B30A」チップ

中国企業が現在注目しているのは、アメリカから輸出許可を得て販売可能になったH20モデルと、次世代チップである「B30A」です。H20は米国の輸出規制に対応して設計されたダウングレード版で、価格は1万〜1万2,000ドルとされ、エヌビディアは60万〜70万個の在庫を保有していると報じられています。

一方、開発中のB30Aは「ブラックウェル・アーキテクチャ」に基づいており、H20の最大6倍の性能を持つとされ、価格も倍の2万ドル前後になる見込みです。中国のテック企業はこの価格を「妥当」と見ており、早ければ9月にもテスト用サンプルが提供される可能性があるとのことです。

米中テクノロジー覇権争いの中で

中国市場はエヌビディアの売上の約13%を占めており、今後も重要な市場であることは変わりません。米政府は一時、同社の中国への販売を厳しく制限する方針を示しましたが、現在は一部緩和され、H20の販売が可能になっています。

それでも、中国当局はアリババやバイトダンスなどの企業を呼び出し、H20の購入理由や情報セキュリティへの懸念について説明を求めているとも報じられています。ただし、現時点では購入の中止命令などは出されていないとされています。

国内チップメーカーの供給不足が背景

エヌビディアのチップに対する強い需要の背景には、ファーウェイやカンブリコンなど中国国内メーカーによる供給が限られていることが挙げられます。中国企業の技術者によると、エヌビディアのチップは依然として性能面で優れており、開発ツールやエコシステムも充実しているため、代替が難しいとされています。

今後の見通しと米中の駆け引き

エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、中国でのH20需要は依然として強いと強調しており、サプライヤーにも継続的な供給体制を維持するよう指示しています。また、H20に関しては米政府との契約に基づき、収益の15%を提供することで輸出許可を得ていることも明らかにされました。

同社は、もし自由に競争力ある製品を展開できるのであれば、中国市場は500億ドル規模の潜在的価値を持つと試算しています。ただし、同社は直近の決算では中国からの売上を見込まない慎重な見通しを示しており、株価は発表後に約6%下落しています。

まとめ

今回の報道からは、米中間のテクノロジー戦争の最前線にあるのが「AIチップ」であることが改めて浮き彫りになりました。エヌビディアは、中国の需要と米政府の規制の間で微妙なバランスを保ちながら、今後も戦略的に市場に対応していくことが求められています。

今後のB30Aの販売可否、そして中国企業がどこまで米国製品を使い続けるのかが注目されるポイントです。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA


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