米国の投資情報メディア「バロンズ」は、2025年9月4日付の記事で、AIモデル開発を支えるデータ企業イノデータ(INOD)に注目しています。
生成AIの発展の裏側で、モデルの学習精度を左右する「高品質なトレーニングデータ」の重要性が高まっており、イノデータはその分野で不可欠な役割を果たしているとバロンズは指摘しています。
同社はテキスト、画像、動画、センサー情報といった未整理データを、AIに最適な形へ変換するデータエンジニアリング企業で、アノテーションやバリデーションを手作業とテクノロジーの組み合わせで行っています。
顧客の多くは非公開ながら、マグニフィセント・セブンと呼ばれる米国大手テック企業7社のうち5社が同社サービスを採用しているといいます。
株価は調整局面でも中長期に妙味あり
バロンズの記事によれば、イノデータの時価総額は約12億ドルと小型ながら、過去3年間で売上は3倍、株価も11倍に急上昇した実績があります。
2025年第2四半期には売上が前年比79パーセント増の5840万ドルに達し、純利益は前年の赤字から720万ドルの黒字へと転換しました。通期では売上45パーセント以上の成長が予想されています。
マキシム・グループのアナリスト、アレン・クリー氏は、AI業界におけるデータ品質の重視が追い風になると評価し、同社株に対し目標株価75ドル(記事執筆時点の株価36.68ドル)と2倍超の上昇余地を見込んでいます。
エージェンティックAIという新領域にも挑戦
バロンズはまた、イノデータが次の成長分野として「エージェンティックAI(Agentic AI)」にも注力していると伝えています。
これは、AIが人の指示を待たず、自律的に複雑な業務をこなす技術領域で、ロボティクスや企業ごとのAIエージェント開発といった応用が想定されます。
こうしたAIの進化に対応するため、トラスト・アンド・セーフティ(信頼性と安全性)のデータ設計・検証が求められ、プラットフォームに依存しないアプローチを持つイノデータの強みが活かされると分析されています。
財務健全性と他社との違い
同記事では、AI分野の他の小型株、たとえばシースリー・エーアイ(AI)やビッグベアaiホールディングス(BBAI)と比較し、イノデータの黒字経営と無借金の健全なバランスシートが差別化要因になっていると指摘されています。
株価収益率(PER)は約30倍と、成長企業としては妥当な水準にあり、フリーキャッシュフローも増加基調にあるとのことです。
テクニカル面でも注目のタイミング
イノデータ株は2025年2月に71ドルを付けた後に調整し、記事掲載時点では36ドル台で推移しています。52週高値から47パーセント下落しているものの、200日移動平均線に近い水準に位置しており、反転の兆しもあると、テクニカルアナリストのダグ・ブッシュ氏がコメントしています。
バロンズは、5ドルから71ドルまで急上昇した過去の実績を踏まえ、再び上昇トレンドに入る可能性を示唆しています。
AI革命の縁の下の力持ちという存在感
バロンズは、半導体やソフトウェアが注目されるAI市場において、イノデータのような「データ品質を担保する企業」こそが、AIモデルの進化に不可欠であり、今後も高い需要が見込まれると評価しています。
今後のリスクとしては、大手顧客への依存度の高さや、競合企業の参入(スケールAIなど)が挙げられていますが、同社の顧客基盤拡大や新領域への展開によって、中長期での成長ポテンシャルは引き続き高いとみられます。
*過去記事「10倍株を狙え!注目の米国小型株リスト【2025年版】」
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