米大手投資銀行のゴールドマン・サックスは、景気後退への備えとして、ウォルマート(WMT)とマクドナルド(MCD)を「コンビクション・リスト(Conviction List)」に新たに追加しました。このリストは、同行が強く推奨する22銘柄で構成されています。
ウォルマートとマクドナルドの共通点は、景気が悪化する局面でも消費者からの需要が見込める点です。アメリカでは株価が上昇を続ける一方で、ミシガン大学の消費者信頼感指数は依然として低く、米国人の生活への不安が色濃く反映されています。
マクドナルド:コスト高に苦しみながらも光明あり
マクドナルドは過去3年間の株価リターンが32%にとどまり、S&P500の72%を大きく下回っています。人件費や原材料費の上昇により価格転嫁を余儀なくされ、顧客離れも懸念されています。
それでも、第2四半期の決算は市場予想を上回り、コスト意識の高い消費者を取り込むために「エクストラ・バリュー・ミール」を復活させると発表しました。例えば、5ドルのソーセージマフィンセットや8ドルのビッグマックセットなどがそれにあたります。
ゴールドマンは、マクドナルドの強力なブランド力とデジタル戦略によって、今後も安定した収益を確保できると分析しています。株価は現在約315ドルですが、同行の12ヶ月目標株価は355ドルとしています。
ウォルマート:高評価にもかかわらず上昇余地あり
ウォルマートは過去3年で株価が129%上昇しており、S&P500を大きくアウトパフォームしています。特にオンライン販売の成長が目立ち、投資家からの評価も高まっています。
株価は現在約98ドルで、ゴールドマンはこれを114ドルまで上昇すると予想しています。同社の「エブリデー・ロープライス戦略」により、インフレや新たな関税によって価格が高騰する中でも消費者の支持を得ており、小売市場でシェアを拡大していくとみられています。
*過去記事「ウォルマート株が急落!好決算でも売られた理由とは?」
その他の注目銘柄
今回リスト入りしたのは、マクドナルドやウォルマートに加えて、以下の2銘柄も含まれます。
- バレロ・エナジー(VLO)
原油価格の下落と米国内の製油能力不足という二つの要因により、ガソリンなどの製品価格が支えられると予想されています。6ヶ月目標株価は162ドル(現在の株価は153ドル)です。 - ケイデンス・デザイン・システムズ(CDNS)
カスタムチップ需要の増加とIPライセンス収益の拡大が期待されています。現在355ドルの株価に対し、12ヶ月後の目標は400ドルとしています。
まとめ:不安定な経済が「ディフェンシブ株」に追い風
ゴールドマン・サックスは、米国の消費者心理が弱気である今こそ、マクドナルドやウォルマートといったディフェンシブな銘柄に注目すべきと示唆しています。過去の実績と現在の環境、さらに今後の成長戦略を総合的に評価した上での推奨銘柄となっており、投資家にとっては要注目の動きといえます。
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