2025年9月3日、米国市場の取引終了後に発表される予定のフィグマ(FIG)の決算が、同社にとって大きな試練となります。デザインソフトウェアを開発する同社は、2025年7月31日の上場以降、株価がIPO価格の約2倍に上昇し、時価総額は350億ドルに達しています。しかし、この高評価に見合う実績を示せるかどうかが問われています。
2025年第2四半期の予想と市場の期待
フィグマは、2024年第2四半期に赤字を計上していましたが、今回は1株当たり9セントの黒字と、売上が2億5000万ドル(前年同期比40%以上増加)に達するとアナリストは予測しています。ただし、フィグマの株価に対する市場の評価は冷静です。ファクトセットによれば、フィグマをカバーする11人のアナリストのうち、「買い」推奨はわずか4人にとどまり、残りの7人は「ホールド」と評価しています。
バリュエーションの高さが最大の懸念材料
フィグマの株価は2025年の予想利益の200倍以上で取引されており、これは大型ソフトウェア企業の水準を大きく上回っています。バンク・オブ・アメリカのアナリストであるブラッド・シルズ氏は、2025年8月25日のレポートで「大型ソフトウェアグループと比較して、フィグマは著しいプレミアムで取引されている」と指摘しています。
ライバル企業のアドビ(ADBE)は、2022年にフィグマを200億ドルで買収しようとしましたが、2023年12月に独占禁止法の観点から断念しています。現在のアドビの株価は、予想利益の17倍程度で取引されています。
IPOブームの反動とAIによる影響
フィグマの他にも、IPO直後に急騰した企業としてサークル・インターネット・グループ(CRCL)やハートフロー(HTFL)などが挙げられますが、いずれも現在は高値から下落しています。サークルはIPO価格31ドルから一時300ドル近くまで上昇した後、現在は132ドル程度で取引されています。フィグマも初値33ドルから143ドル近くまで上昇後、現在は70ドル前後に落ち着いています。
ソフトウェア業界全体では、生成AIの台頭がビジネスモデルへの脅威となっており、セールスフォース(CRM)の株価もその影響を受けて年初来で大きく下落しています。
フィグマにとってAIは脅威か追い風か?
RBCキャピタル・マーケッツのアナリストであるリシ・ジャルリア氏は、AIがフィグマの事業を単純化するという懸念について、「フィグマが独自のAIツール(Figma Makeなど)を開発していることを考えると、むしろ追い風になる可能性がある」と分析しています。ただし、同氏も株価については「現在の価格はすでに正当化されており、より良いエントリーポイントを待つべき」としています。
まとめ:過熱した期待の修正局面か
IPO直後の過剰な期待が株価を押し上げた面もあり、現在の調整は健全なプロセスとも考えられます。とはいえ、決算で成長性を証明できなければ、株価はさらに調整する可能性もあります。フィグマをはじめとする新興上場企業にとって、今後の数四半期が正念場となりそうです。
*過去記事「フィグマ株に高評価と警戒感、AIブームの持続性は?」
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