アルファベットのTPUがエヌビディアの牙城を崩す日

米国市場でAIチップの覇権を握るエヌビディア(NVDA)に対抗し得る存在として、アルファベット(GOOGL)のTPU(テンソル・プロセッシング・ユニット)が再評価されています。D.A.デビッドソンのアナリストによれば、TPU関連事業とAI研究部門「DeepMind」をスピンオフすれば、その価値は約9000億ドルに達する可能性があるとのことです。

アルファベットのTPUが注目を集める理由

TPUとは、アルファベットが自社開発したAI専用のアクセラレーターチップであり、機械学習モデルのトレーニングおよび推論に特化しています。特に最新の第6世代「Trillium TPU」や、推論向けに設計された第7世代「Ironwood TPU」は高い性能とコスト効率を誇り、フロンティアAI研究機関からの関心が急速に高まっています。

D.A.デビッドソンによれば、TPUは最大42.5エクサフロップスという計算能力を持ち、広帯域メモリの搭載によって処理効率も飛躍的に向上しています。

DeepMindとの統合価値は9000億ドル規模

アルファベットのAIチップ開発とAI研究を組み合わせた「TPU+DeepMind」事業は、もし独立企業として上場すれば、AIハードウェアとソフトウェアの統合体として、極めて高い市場評価を受ける可能性があります。アナリストは以前この事業の価値を7170億ドルと見積もっていましたが、今回は9000億ドル規模に引き上げています。

ただし、現在のところスピンオフの計画はなく、同事業はアルファベットの中でも十分に評価されていないと指摘されています。

アンソロピックやxAIもTPUに関心

TPUの採用拡大を示す兆候として、スタートアップ企業アンソロピックがTPUカーネルエンジニアを採用しており、Amazon Web ServicesのTrainiumチップ以外への移行を模索している可能性があると見られています。

また、イーロン・マスク氏率いるxAIもTPUの活用を検討しており、これはJAXというTPU用の数値計算ライブラリが外部でも利用しやすくなってきたことが背景にあります。

Google Cloud上でのTPU開発者活動も急増

2025年2月から8月にかけて、Google Cloud上でのTPU関連開発者の活動は約96%増加しており、エコシステムの拡充が進んでいます。

株式評価は「中立」だが、潜在価値は大きい

D.A.デビッドソンは、アルファベット株の格付けを「中立」に据え置いたものの、TPU事業の潜在的価値を考慮せずとも目標株価を190ドルに引き上げています。TPUとDeepMindが再評価される日が来れば、アルファベット全体の企業価値も大きく変わる可能性がありそうです。

*過去記事 アルファベット GOOGL

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