コアウィーブの買収計画に暗雲?コア・サイエンティフィック交渉の行方

  • 2025年9月2日
  • 2025年9月2日
  • BS余話

コアウィーブ(CRWV)によるコア・サイエンティフィック(CORZ)の買収劇が、波乱の展開を見せています。AIインフラ市場で急成長するコアウィーブは、2025年7月に暗号資産マイニング企業コア・サイエンティフィックを約90億ドルで買収する意向を示しましたが、その後の株価下落により、買収条件が問題視されるようになりました。

なぜ今、コア・サイエンティフィックを買収するのか

コアウィーブは、エヌビディア(NVDA)のAIチップを活用した高性能クラウドコンピューティングを提供する企業で、電力供給とインフラ強化が成長の鍵を握っています。コア・サイエンティフィックの施設を取り込むことで、約1.3ギガワットの電力容量を自社インフラに加えることができ、今後のAI需要に備える狙いがあります。

株式交換レートが崩れた理由

この買収は全額株式交換によるもので、コアウィーブの株1株に対してコア・サイエンティフィックの株0.1235株を割り当てるというものでした。発表当初は1株あたり20.40ドル相当の価値がありましたが、コアウィーブ株が7月のピークから44%下落したことで、交換価値は12.77ドルまで下落しました。

そのため、コア・サイエンティフィックの大株主であるTwo Seas Capitalが条件の見直しを要求。市場でもコアウィーブが提示価格を引き上げると見られており、コア・サイエンティフィック株は14.35ドルで取引されています。

株式交換比率の見直しは避けられない?

ジェフリーズのアナリスト、ジョナサン・ピーターソン氏は、コア・サイエンティフィックの本来の価値は1株あたり16〜23ドルと分析しています。現在の比率を維持するには0.16〜0.20コアウィーブ株の交換が妥当だと指摘しています。つまり、交渉のやり直し(リカット・ディール)は現実味を帯びているということです。

コアウィーブとコア・サイエンティフィック、それぞれの立場

コアウィーブとしては、将来のエヌビディアのGB300サーバーの供給増に期待し、買収価格の引き上げを渋る姿勢を見せています。一方、コア・サイエンティフィックは、AIインフラへの転換により単独でも市場評価が高まっている点を主張可能です。

例えば、同業のアイリス・エナジー(IREN)は、エヌビディアチップの追加購入とAI収益見通しの引き上げを発表したことで株価が15%近く急騰しています。また、テラウルフ(WULF)も、グーグルの親会社アルファベットとのAIホスティング契約で注目を集めています。

両社にとって買収成立が最善の道

買収が実現すれば、コアウィーブは電力制約という最大のボトルネックを解消し、年間5億ドルのコスト削減、100億ドルのリース負債削減が見込めます。キャンターのアナリストは、コアウィーブの目標株価を116ドルに設定し、この買収が短期的な株価の材料になると評価しています。

一方、コア・サイエンティフィックにとっても、主力顧客であるコアウィーブとの関係悪化や急な資金調達リスクを避けられるという意味で、合意が望ましい状況です。

まとめ

コアウィーブとコア・サイエンティフィックの合併は、単なるM&Aではなく、次世代AIインフラ戦争の布石です。電力を制する者がAIを制す時代において、この買収の行方は市場関係者にとっても注目の的となっています。

今後の交渉の展開と、再交渉による条件修正に注目が集まりそうです。

*過去記事「コアウィーブが急成長の果てに直面する評価の変化──アナリストが相次ぎ格下げ

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