2025年も後半に入り、米国株市場は再び活気を取り戻しつつあります。バロンズ誌が8月29日に発表した市場展望記事では、今後の投資機会として「割安株」「小型株」「景気敏感株」に注目が集まっていると伝えています。
この記事では、バロンズが紹介した注目ポイントを整理し、今後の投資判断の参考になる内容をまとめます。
ハイテク主導の相場は終焉?マグニフィセント・セブンに陰り
2025年初頭、トランプ大統領の「解放の日」関税発表などでS&P500は一時19%下落しましたが、現在は年初来+10%まで回復しました。ここまでの相場を牽引してきたのは、エヌビディア(NVDA)、マイクロソフト(MSFT)、メタ・プラットフォームズ(META)、ブロードコム(AVGO)、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)などの大型ハイテク株です。
しかし、これら「マグニフィセント・セブン」への過度な依存には警戒感も強まっています。P/E(株価収益率)が30倍を超える水準にあり、今後の利下げ期待が剥落すれば調整リスクも指摘されています。
今後の主役は?金融、工業、ヘルスケア、小型株に期待
バロンズによると、次なる注目は以下のような「見直し買いが期待できる」セクターと銘柄です。
- 地方銀行:UMBファイナンシャル(UMBF)、ホーム・バンクシェアーズ(HOMB)
- 工業株:ハーク・ホールディングス(HRI)、クリーン・ハーバーズ(CLH)、ナイト・スウィフト・トランスポーテーション(KNX)
- ヘルスケア:サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(TMO)、ベクトン・ディッキンソン(BDX)
- 小売・不動産:ワイズ・マーケッツ(WMK)、コンパス(COMP)
- 小型株全般:2026年にかけての利益成長率が2桁に回復する見込み
これらの銘柄はいずれもP/Eが比較的低く、財政・金融政策のサポートを受けやすい分野とされています。
米国以外にも注目?割安な海外株とAIインフラ銘柄
米国外の株式にも光が当たり始めています。iShares MSCI EAFE ETF(欧州・アジア・豪州などを含む)は年初来+21.5%のリターンを記録しており、PERは16倍と米国株より割安です。
また、AIデータセンター関連では、日本のフジクラ(5803.T)やイタリアのプリスマン(PRY.MI)といったインフラ系企業が注目されています。これらはAIブームの恩恵を受けながら、バリュエーションは控えめです。
さらに、韓国のサムスン電子(005930.KS)にも注目が集まっており、半導体需要の拡大により成長が期待されています。
債券市場と金・仮想通貨にもチャンス?
2025年の債券市場は比較的安定しており、iShares Core U.S. Aggregate Bond ETFは年初来+2.5%の上昇。今後の利下げ期待を背景に、7〜10年満期の中期債券や、企業債(イーライ・リリー(LLY)、スコッツ・ミラクル・グロー(SMG)、H.B.フラー(FUL))にも投資妙味があるとされています。
また、金・銀・仮想通貨(ビットコイン、イーサリアム)も年初から好調です。リスク分散として、これらの資産クラスへの配分も検討され始めています。
今後の展望と戦略まとめ
- 金利低下・財政刺激策による景気下支えが見込まれ、相場の地合いは良好
- バリュエーションが高騰したハイテク株から、割安な景気敏感株へのローテーションが加速
- 小型株・地方株・医療機器・非米国株など、広範な企業群に再注目
- 金融・工業・ヘルスケア・小売・不動産といった、相対的に出遅れたセクターに投資妙味
「マグニフィセント・セブン」一辺倒だった相場から、より多様な企業・セクターへと投資が広がる可能性がある今。次の波に乗るためにも、これらの視点は押さえておきたいところです。
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