医療向けAIチャットボットを展開する米スタートアップOpenEvidenceが、複数の投資家から総額60億ドル相当の企業評価による出資提案を受けていると報じられました。同社はわずか3年前に創業され、前回の資金調達から1カ月で企業価値が2倍近くになった形です。
医師専用チャットボットを提供するOpenEvidenceとは
OpenEvidenceは、登録済みの医師を対象に、医療論文などに基づく信頼性の高い回答を提供するチャットボットを運営しています。一般的な生成AIとは異なり、同社はニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンなどからライセンス提供を受けた医療文献を活用している点が大きな特徴です。
このサービスは、全米1,000万人の医師のうち40%以上に利用されており、10,000以上の病院や医療施設で導入されているといいます。月間850万件以上の質問に対応しているとのことです。
売上・利益率ともに異例の水準
OpenEvidenceは広告収益を収益源としており、現在は年間5,000万ドル超の広告売上を計上していると伝えられています。理論上は4億ドル以上の広告在庫があり、拡張の余地が大きいと見られています。
特筆すべきは、90%を超えるグロスマージン(売上総利益率)で、AIスタートアップとしては異例の高収益構造です。クラウド上でモデルを稼働させるコストや、医療文献のライセンス料などを差し引いても、なお高い利益率を維持しています。
また、現時点でのキャッシュバーンは四半期あたり1,000万ドル未満に抑えられており、資金効率も良好とされます。
オープンAIやグーグルとの関係と今後の展望
OpenEvidenceは自社モデルに加えて、オープンAIやグーグルなどの技術も組み合わせてチャット機能を提供しています。さらに同社が最近発表した内容によると、自社開発モデルは米国医師免許試験で満点を達成したといい、ChatGPT-5でも97%の正答率だったと評価しています。
今後の資金調達によって、同社はさらなる医療文献の取得や、電子カルテ企業などの買収も視野に入れているとのことです。
医療AI分野への資金流入が加速
OpenEvidence以外にも、医療AI分野への投資は活発化しています。たとえば、Abridge(医師と患者の会話を記録・書き起こしするソフト)は、評価額50億ドルでの資金調達を実施し、わずか3カ月前の評価額から2倍に成長しています。また競合のAmbienceも、評価額10億ドル超での調達を実施しており、2023年比で3倍以上の成長を見せています。
医療×生成AIの未来を担う企業として注目
OpenEvidenceは、生成AIと専門領域を融合させた代表的なスタートアップとして、今後の動向が非常に注目されます。医療という信頼性が問われる分野において、厳選された情報源と高精度の回答能力を武器に、他のAI企業とは一線を画しています。
今後の資金調達結果や提携先の拡大、プロダクトのアップデートなどに注目が集まります。
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