フィグマ(FIG)は2025年7月31日にニューヨーク証券取引所へ上場し、株価が初値から250%も急騰するという記録的なIPOを果たしました。株価は一時142.92ドルに到達しましたが、現在は70ドル前後まで下落しています。それでもIPO価格である33ドルを大きく上回っており、市場からの期待の高さがうかがえます。
大手金融機関による格付け
8月25日、JPモルガン、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、ウィリアム・ブレアといった大手金融機関がフィグマの株式を新規にカバレッジしました。JPモルガンとモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスは中立的な評価を下し、それぞれ65ドル、80ドル、48ドルを目標株価としました。一方、ウィリアム・ブレアのアナリストであるアルジュン・バティア氏はアウトパフォーム評価を付け、96ドルの目標株価を提示しました。
AIによる成長期待とリスク
JPモルガンのマーク・マーフィー氏は、フィグマの「AI自動化基盤」が製品全体に組み込まれている点を評価し、同社を「革新的な技術の先駆者」と称賛しました。フィグマはAIネイティブのクラウドベースデザインプラットフォームとして、従来型ソフトウェアの競合に対して優位性を持つと見られています。
しかし、株価の割高感は無視できません。フィグマは過去12か月の売上高に対して42倍、2026年度予想売上高に対しては約35倍のバリュエーションで取引されています。これは、同規模のソフトウェア企業平均である12倍を大きく上回っています。モルガン・スタンレーのエリザベス・ポーター氏は「現状の評価倍率は成長余地を織り込みすぎており、短期的な投資妙味は限定的」と指摘しています。
業界全体の課題とフィグマの座席課金モデル
JPモルガンのマーフィー氏は、AIの進展により企業の人員が減少すれば、フィグマの座席課金モデルにリスクが生じる可能性を懸念しています。利用者数の減少は直接的に売上に影響を与えるため、今後の拡大には注意が必要です。
ウォール街の見方と投資家への示唆
ゴールドマン・サックスのカシュ・ランガン氏は「ビジネスモデルには可能性があるが、実行力と導入状況にさらなる裏付けが必要」と述べ、より慎重な姿勢を示しました。一方、ウィリアム・ブレアのバティア氏は「フィグマの市場シェアや機能性に匹敵する競合は存在せず、プレミアムな評価は妥当」と強気な見方を示しています。
強気派は、フィグマがAI関連銘柄の代表格であるパランティア(PLTR)並みの評価を受ければ、株価は95ドルに達する可能性もあると見ています。しかし現状では、過熱感を懸念する声も多く、バリュエーションの調整が予想されています。
まとめ
フィグマはAIを活用したクラウドデザイン分野で確固たる地位を築きつつありますが、株価は依然として高い評価水準にあります。強気と慎重な見方が分かれる中で、投資家は短期的なリスクと長期的な成長ポテンシャルを冷静に見極めることが重要です。
*過去記事「フィグマ株が上場2日目も上昇、終値122ドルで時価総額594億ドルに」
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