AI時代の勝ち組ソフト企業を見極める指標NRRとは

  • 2025年8月25日
  • 2025年8月25日
  • BS余話

025年8月22日付の米メディア「The Information」が、ソフトウェア企業の業績を測る上で投資家が注目している指標「ネット・リベニュー・リテンション(NRR)」について詳しく解説しています。NRRは既存顧客からの売上がどれだけ拡大しているかを示す数値で、AI時代における勝ち組と負け組を見分ける材料として注目されています。ただし、その計算方法が企業ごとに異なるため、単純比較が難しいという問題もあります。

NRRとは何か

NRRは1年前の顧客群が現在どれだけの売上をもたらしているかを測定する指標です。100%を超えると既存顧客がより多く支出していることを意味します。新規顧客の獲得コストが増加する中で、既存顧客からの売上拡大は企業の成長において重要な要素とされています。RBCキャピタル・マーケッツのアナリストによれば、顧客が価値を認めれば自然と支出が増えるため、NRRは長期的な成長性を判断する上で有効だといいます。

フィグマの事例

記事が注目したのは、デザインソフト企業フィグマ(FIG)です。同社は2025年7月のIPO時にNRRが132%と発表し、大きな話題を呼びました。しかし、この数値は「年商1万ドル以上の顧客」のみに基づいたもので、全顧客45万社のうち約1万社が対象でした。この方法は他社との比較を困難にし、NRRを高く見せる効果があると指摘されています。

他社の工夫と問題点

NRRの算出方法は企業によってバラバラです。
・ギットラブ(GTLB)は上場時に148%と明示しましたが、その後は130%を下回った場合のみ正確な数値を公表する方式に変更しました。
・ルーブリック(RBRK)は直近4四半期の平均値を開示し、詳細な四半期ごとの数字は非公開です。
・データドッグ(DDOG)は月ごとの数値を算出しつつ、良い月に重みを置いた加重平均を開示する方式を採用しています。
・スノーフレーク(SNOW)は1年ではなく2年を基準に算出し、顧客の利用が定着するまでの時間を反映させています。

投資家にとっての意味

ソフトウェア株はAI時代の不安から広く売られている状況にありますが、NRRが改善している企業はAIサービスが顧客に受け入れられているサインと見ることができます。記事では、データドッグやスノーフレークのようにNRRが底打ちから回復している企業を評価する声が紹介されています。単に株価の下落に流されず、NRRの動きを見極めることが投資判断に役立つとされています。


このようにNRRはAI時代のソフトウェア投資における重要な指標ですが、計算方法の違いによって比較が難しい「数字のマジック」も潜んでいます。投資家にとっては、数値そのものよりもその算出方法とトレンドを理解することが、企業の真の実力を見抜くカギとなりそうです。

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

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