米国株は史上最高値、パウエル発言が与えた本当の意味

  • 2025年8月23日
  • 2025年8月23日
  • BS余話

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、8月22日にワイオミング州ジャクソンホールで開かれた経済シンポジウムで講演を行いました。今回の発言は「利下げの可能性を示唆した」と市場に受け止められ、ダウ平均株価が年初来で初めて最高値を更新しました。しかし、具体的な利下げ幅や回数については言及を避け、明確な方向性は示されませんでした。

労働市場への懸念

講演の中心は労働市場に関する警戒感でした。パウエル議長は労働市場を「需給が同時に弱まっている奇妙な均衡」と表現し、直近3カ月の雇用者数増加が月平均3.5万人と、2024年の16.8万人から大幅に減少していることを指摘しました。今後のデータ次第では「急速なレイオフ増加」につながる可能性があるとし、9月の利下げ判断に向けて8月の雇用統計が大きなカギになるとしています。

金利水準と中立金利

パウエル議長は、現在の政策金利が1年前よりも中立水準に近づいていると述べ、金融政策の制約度合いが和らいでいることを強調しました。ただし、Rスターと呼ばれる中立金利の水準が2010年代より高まっている可能性に言及し、仮に2~3回の利下げを実施しても依然として金融引き締め状態が続く可能性があると説明しました。

インフレとトランプ政権の政策

もう一つの課題はインフレです。パウエル議長は、トランプ大統領の関税政策が今後も物価を押し上げる要因になると警告しました。これにより、FRBは利下げに踏み切りたい一方で、インフレ圧力とのバランスを取らなければならないという難しい判断を迫られています。

今後の展望

今回の講演は市場にとって利下げ期待を高めるものでしたが、必ずしも大規模な緩和サイクルの始まりを意味するものではありません。9月のFOMCで公表される経済予測が、FRBメンバーの金利見通しをどのように示すかが注目されます。市場が期待する「早いペースの利下げ」には、まだ慎重な姿勢が見られるといえます。

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG