アマゾン(AMZN)が食料品分野への取り組みを本格化させています。投資家の期待は高まっていますが、ウォール街のアナリストは「慎重さも必要」と警告しています。
アマゾンが狙う食料品市場の成長
アマゾンは先週、生鮮食品を含む食料品の即日配送サービスを全米1,000都市で展開し、年末までに2,300都市へ拡大する計画を発表しました。アマゾンプライム会員は25ドル以上の注文で無料配送を利用でき、非会員は12.99ドルの配送料がかかります。これにより株価は2.2%上昇し、競合するドアダッシュ、クローガー、インスタカートの株価は下落しました。
アマゾンは2017年にホールフーズを買収し、アマゾン・フレッシュを運営していますが、今回の施策はプライムを中心に据えた新たな展開として注目されています。
アナリストの警告と懸念点
ウェルズ・ファーゴのアナリスト、ケン・ガウレルスキ氏は、アマゾンが食料品市場に「オールイン」していると指摘しました。しかし、食料品は利益率が低いカテゴリーであり、運営の複雑さから収益化が難しい分野でもあります。
ウェルズ・ファーゴの試算によると、25ドルの注文で無料配送を提供すると、1件あたり最大5ドルの損失になる可能性があります。仮に米国市場シェアが1%拡大すると、25億~30億ドル規模の損失が発生する計算です。ただし、実際には25ドルちょうどの注文が集中する可能性は低いため、この試算はあくまでリスクを示すものとされています。
アマゾンの強みと投資判断
物流に関しては、アマゾンの強みは他社を圧倒しています。ガウレルスキ氏は「アマゾンの物流能力を過小評価することはできない」とし、消費者が求める短時間配送を実現できるだろうと述べています。
一方で、同氏はアマゾン株を「イコールウエイト」と評価し、目標株価を245ドルとしました。投資家にとっては成長の可能性とリスクの両面を慎重に見極める必要があるといえます。
このように、アマゾンの食料品事業は巨大な成長余地を秘める一方、採算性の課題も抱えています。投資家は同社の物流力と事業拡大のスピードを評価しつつも、収益構造の不透明さを踏まえて冷静に判断することが重要です。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN
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