エヌビディアH20チップ、中国向け供給に新たな不透明感

米テック系メディア「The Information」が2025年8月21日付で報じたように、エヌビディア(NVDA)は中国市場向けに開発したAIチップ「H20」の一部生産を停止しました。関係者によれば、韓国サムスンや米アムコー・テクノロジー(Amkor)に対して製造中断を指示したとされています。背景には、中国政府が国内企業に対してH20の購入を控えるよう求めた動きがあります。

中国政府の警戒と国産チップ優先の流れ

中国当局は、H20チップに米国へ情報を送信する「バックドア」が仕込まれているのではないかと懸念しており、ファーウェイ製など国産AIチップの利用を推奨しています。この指示は、エヌビディアが米国の輸出規制に対応するかたちで性能を調整し、販売再開にこぎつけた直後に出されたものです。同社は中国企業から約70万個の注文を受けていましたが、今回の動きにより供給計画が宙に浮いた形になっています。

供給網への影響とフアンCEOの発言

台湾の台北を訪れたジェンスン・フアンCEOは22日、台湾積体電路製造(TSMC)を訪問中に記者団へ「すでに相当数のH20を準備している。中国から注文が入ればすぐに出荷できる」と述べ、在庫の存在を示唆しました。エヌビディアは「市場環境に応じてサプライチェーンを調整している」とコメントしつつ、「H20は軍事製品でも政府インフラ向けでもない」と強調しています。

一方、アムコーには未完成チップが滞留し、サムスンも生産停止通知を受けたとされるなど、サプライチェーン全体に影響が広がっている状況です。

中国依存度の低下と戦略の転換点

エヌビディアの売上に占める中国比率は、2022年度の26%から2025年度には13%にまで縮小しています。今回のH20チップを巡る混乱は、同社が米中対立という地政学リスクに直面しながら、事業戦略の再構築を迫られている現実を物語っています。

市場の反応とアナリストの見方

株式市場では、エヌビディア株は8月に入って4%下落しており、22日のプレマーケットでも1%以上下げまています。来週に控える決算発表を前に、中国市場での売上回復に対する懸念が重石となっています。ただし、UBSは目標株価を従来の175ドルから205ドルに引き上げ、「AI分野の追い風は依然として強い」と評価しています。

*過去記事「エヌビディア、H20チップの生産を一時停止 中国の購入制限が直撃

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