2025年8月21日付の米テック系メディア「The Information」は、メタ・プラットフォームズ(META)がグーグルと総額100億ドル以上におよぶクラウド契約を結んだと報じています。この契約は6年間にわたり、グーグルクラウドのサーバー、ストレージ、ネットワークなどのサービスを利用するという内容です。
グーグルクラウドにとって歴史的な契約
本契約は、グーグルクラウドの17年の歴史の中でも最大級の取引のひとつであり、同社がアマゾン(AWS)やマイクロソフト(Azure)に次ぐ第3のクラウドベンダーとして確固たる地位を築きつつあることを示しています。AI関連の需要が拡大する中、グーグルは性能に優れたGemini 2.5モデルを武器に他社との差別化を進めており、その成果が顧客獲得に結びついています。
メタのAI投資とマルチクラウド戦略
メタはこれまで、自社運営のデータセンターを中心に事業を展開してきましたが、近年はAWSやAzureに加えて、オラクル(ORCL)やコアウィーブ(CRWV)といった複数のクラウドプロバイダーとも契約を結んでいます。今回グーグルを加えることで、メタは世界最大級のクラウド顧客の一社となり、価格交渉力やサービスの可用性をさらに高めることが可能になります。
このようなマルチクラウド戦略は、セールスフォース(CRM)のような大手ソフトウェア企業がすでに取り入れているモデルであり、リスク分散や柔軟な技術活用の面で有利とされています。
業界競合を超えた協業の意味
注目すべきは、メタとグーグルが広告やAI、VR/ARなど多くの領域で激しく競合している点です。かつては広告市場での提携疑惑が米司法省の訴訟で問題視されたこともありますが、それでも今回のようにクラウドインフラの分野では協業が成立していることは、業界における「共存と競争」のバランスを象徴しています。
投資家が注目すべきポイント
このニュースは、クラウド事業者やAIインフラ関連企業にとってポジティブな材料です。特にグーグル親会社であるアルファベット(GOOGL)は、クラウドの利益率向上とAI需要の拡大が評価され、ここ数四半期で株価が堅調に推移しています。
また、AI関連のGPUインフラに強みを持つエヌビディア(NVDA)も、この種の契約を通じてさらなるGPU需要の増加が期待されるため、引き続き注目が必要です。
このように、メタとグーグルの大型契約は、AI時代の新たなクラウド覇権争いの行方を占ううえで、非常に象徴的な動きとなっています。今後の業界再編にも注目です。
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