バイキング・セラピューティクス株が暴落、肥満治療薬の試験結果に失望

米バイオ医薬品企業のバイキング・セラピューティクス(VKTX)の株価が、体重減少治療薬に関する試験結果の発表を受けて暴落しました。市場の期待値を大きく下回るデータが投資家心理を冷やし、株価は8月19日の米国市場で43%近く下落しました。

試験結果の詳細

同社が開発中の経口肥満治療薬「VK2735」は、1日1回服用する錠剤型のGLP-1受容体作動薬です。中期臨床試験では、最も高用量を服用した患者において13週間で平均12.2%の体重減少が見られました。一方でプラセボ群では1.3%の減少にとどまっています。しかし、約3分の1の患者が副作用の懸念から治療を中断しており、安全性への不安が強まりました。この発表を受け、株価は19日午前の米国市場で24.08ドルまで下落し、前日比42.8%安となりました。

肥満治療薬市場の期待と現実

肥満治療薬市場ではGLP-1関連薬の成功を背景に、経口薬の開発が「次の成長分野」として注目されています。従来の注射薬と比べて、錠剤は消費者にとって利便性が高く、冷蔵保存も不要なため普及しやすいと考えられています。そのため、投資家からの期待は大きく、今回の結果は失望感を呼びました。

他社の動向と比較

肥満治療薬分野では、イーライ・リリー(LLY)も同様の経口薬を開発しています。同社のオーフォルグリプロンは、72週間の投与で平均12.4%の体重減少を示しましたが、プラセボ群との差は限定的で、発表直後に株価が二桁下落する結果となりました。大手であっても市場の期待に届かないと厳しい評価を受けることが明らかになっています。

今後の展望

肥満治療薬市場は数十億ドル規模に成長すると見込まれていますが、効果の大きさだけでなく、副作用や継続率も普及の鍵となります。バイキング・セラピューティクスにとっては今後の追加試験で安全性と有効性を証明できるかが最大の課題となります。投資家にとっても、短期的な期待よりも長期的な臨床データの積み上げが重視される局面になりそうです。

*過去記事「減量薬戦争に新星現る?バイキング・セラピューティクスが描く逆転劇

🎧この記事の内容は音声でもお楽しみいただけます。コメンテーター二人のやり取りで分かりやすく解説していますので、ぜひご利用ください。👇

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG