2025年8月18日の米国市場では、再生可能エネルギー関連株が大きく上昇しました。米財務省が再生可能エネルギーの税額控除に関する新ルールを発表したことが背景にあります。新しい規制は一見すると厳格化のように見えますが、市場が懸念していたほど厳しくなく、投資家心理が改善しました。
ファースト・ソーラーの上昇
米国最大の太陽光モジュールメーカーであるファースト・ソーラー(FSLR)の株価は8月18日の終値で219.33ドル、前日比+9.69%となりました。税額控除の適用条件が想定よりも厳しすぎなかったことが投資家心理を支え、昨年10月以来の高値圏で取引を終えました。
サンランの住宅用太陽光事業
米国最大の住宅向け太陽光発電事業者であるサンラン(RUN)の株価は8月18日の終値で15.50ドル、前日比+11.35%となりました。政策の不確実性が和らいだことに加え、アナリスト評価の改善も追い風となり、2営業日連続で大幅高を記録しました。
ネクステラ・エナジーは堅調
大規模再生可能エネルギー開発を手掛けるネクステラ・エナジー(NEE)の株価は8月18日の終値で75.72ドル、前日比+0.41%となりました。同社は既存プロジェクトの準備が進んでおり、税制上の移行措置を最大限に活用できる立場にあると見られています。
ベスタス・ウィンド・システムズの急伸
デンマークの風力タービン大手であるベスタス・ウィンド・システムズ(VWS)は、8月18日のコペンハーゲン市場で132.15デンマーククローネとなり、前日比+15.06%の上昇を見せました。米国の税額控除ガイダンスが「想定よりも厳しくない」と受け止められ、欧州の再エネ株にも買いが波及しました。
新ルールの概要と影響
今回の規制変更では、単に設備を購入するだけでは税額控除を受けられず、実際に建設を開始する必要があります。ただし、一度着工すれば4年間の猶予が認められるため、企業にとって過度な負担にはなりません。また、9月2日までの移行期間が設けられており、それまでに設備を購入済みの企業には有利に働きます。
太陽光と風力の明暗
太陽光発電については、トランプ大統領の政策下でも規制環境が比較的安定しており、プロジェクトの進行は継続可能と見られています。一方で、風力発電については内務省がより厳格な審査を導入しており、特に鳥類への影響調査などが課題となっています。すでに導入が減速している風力事業にとっては、厳しい環境が続く見通しです。
投資家への示唆
今回の株価上昇は「悪材料が想定より軽かった」ことが主因でした。短期的には太陽光関連への資金流入が起こりやすく、住宅用ソーラーなどが注目されます。一方で風力は手続きや規制面のボトルネックが残り、選別が必要な状況が続きます。投資家にとっては、各企業のプロジェクト準備状況や政策対応力を見極めることが重要です。
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