暗号資産取引所のジェミニ(GEMI)が、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)の申請を行いました。ビットコイン長者として知られるキャメロン・ウィンクルボス氏とタイラー・ウィンクルボス氏が設立した同社は、暗号資産ブームとIPO市場の活況という二つの波に乗ろうとしています。
ジェミニの業績と財務状況
ジェミニは2024年の売上を45%増の1億4,220万ドルと発表しましたが、同時に1億5,850万ドルの純損失を計上しました。2025年前半の業績はさらに厳しく、売上は6,860万ドルに減少し、純損失は2億8,250万ドルに拡大しています。
一方で、取引量や利用者数は大きく伸びています。2025年前半における月間取引ユーザーは52万3,000人と前年同期比で5.7%増加し、取引高は約50%増の248億ドルに拡大しました。さらに、プラットフォーム上の資産は30%以上増え182億ドルに達しています。
IPO市場の回復と暗号資産関連の注目
IPO市場はこの数カ月で活況を取り戻しています。デザインソフト大手のフィグマ(FIG)、医療イメージングのハートフロー(HTFL)、宇宙開発のファイヤーフライ・エアロスペース(FLY)などが夏に上場し、好調なパフォーマンスを見せています。
特に暗号資産関連のIPOは投資家の関心を集めています。ステーブルコイン発行企業のサークル・インターネット・グループ(CRC)は6月の上場以来、株価が約5倍に上昇しました。また、暗号資産取引企業ギャラクシー・デジタル(GLXY)やオンライン証券のイートロ・グループ(ETOR)上場を果たしています。さらに先週は、暗号資産メディア「コインデスク」を運営するブリッシュ(BLSH)が上場初日に85%高となり、市場の注目を集めました。
ジェミニの今後と暗号資産IPOの展望
ジェミニはナスダック市場に「GEMI」のティッカーで上場する予定ですが、公開時期や株価レンジはまだ明らかにされていません。直近のプライベート資金調達では71億ドルの評価額がつき、IPOでは4億ドルを調達する可能性があると見られています。
また、グレースケールやビットゴーもIPO申請を行っており、クラーケンやファイヤーブロックス、チェイナリシスといった暗号資産関連企業も2025年末から2026年にかけて上場を検討しています。
投資家へのリスクとチャンス
IPOは本来リスクの高い投資手段ですが、特に暗号資産関連銘柄はビットコイン価格の変動に大きく左右されるため注意が必要です。しかしながら、投資家は現在のところリスクを意識しつつも成長性に期待し、積極的な姿勢を見せています。ジェミニの上場は、暗号資産業界における新たな転換点となる可能性があります。
*過去記事「暗号資産関連IPOが加速、投資家が学ぶべき歴史的教訓」
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